第6話

「よっす」


 翌日。恭弥は昨日と同じようにeスポーツカフェへとやってきていた。二日連続で二千円を使うことに罪悪感を覚えるが、一千万円を獲得すれば問題ない。


「昨日ぶり。早速始めようか」


 今日も恭弥はクロウと二人でVertexをやることになった。

 昨日受けたクロウからの誘いを恭弥は秒で承諾した。プロとチームになれるのだ。賞金を目的としている恭弥にとってはこの上なく有益な提案だった。


 しかし、期待はずれだったことがあった。

 ゲキツヨ三銃士は現在解散をしており、クロウは単独とのこと。チームはあくまで恭弥とクロウのタッグ。それでも断らなかったのはVertexにおける大会のルールが二人チームだったからだ。


「それにしてもなんで解散したんだ?」

「喧嘩しないため。二人チームは今回からの仕様なんだ。三人から二人選ぶのは酷だから解散になった」

「だからペアを探してたのか」

「そっ。でも、あれは解散なんかじゃなかった。他二人は解散してからまたチームを組んだのよ」


 クロウの怒りを沸かすような物言いに恭弥はヘッドホンを耳につける動作を止めた。


「解散は一人がハブられないようにするためじゃなかったのか?」

「私もそうだと思ったわ。でも、彼女たちの目的は穏便に私をハブることだったのよ」

「ひどいな」

「だから私は大会で彼女たちに勝って報復してやるの。さっ、始めるよ」

「了解」


 二人揃ってヘッドホンをつけ、Vertexをプレイする。最初はチーム戦ではなく、個人戦で戦うことにした。恭弥の適応スキルの高さを生かしてクロウの持つ全ての技を恭弥に食らわせる目論見だ。


 恭弥はクロウの動作を盗み取り、プレイスキルを上げる。彼の技能がある程度向上してからチームとしての連携を作り上げていく形で練習することとなった。


 県予選開催の1ヶ月間、恭弥はクロウの指導の元、必死にプレイし続けた。

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