第4話
そうして何とか手に入れた平穏にやって来た見ず知らずの人たち。
彼ら彼女らによればこれは大義なのだと。
失われたリボー皇国を取り戻すための。
だから私は言った。
「いいだろう。貴様たちの覚悟は受け取った。その血肉、須らく利用し尽くしてやろう」
ゆっくりと仰々しく言葉を紡ぎそこに魔力を込める。
部屋に広がる魔力はそこに居座る者共を容易に飲み込んでいく。
革命を謳う者は何の抵抗もなく魔力の沼に沈んでいく。
この場にいる者共が全て私の支配下に収まったことを把握すると私はそれらに命令を下す。
「アレッジド・トムロルフ・リボーの名において命ずる。全てを忘れ只人となるがいいい」
リボー皇家の生き残りがいることなど忘れてしまえばいい。
リボー皇国が崩壊したなど忘れてしまえばいい。
リボー皇国などという国があったことなど忘れてしまえばいい。
幸せだった過去などはなく、望み掴んだ物など存在せず、待ち受けていた望まない現在などありはしない。
夢の中に住まおうとしている者共を目覚めさせるには全てを忘れてしまえばいい。
幸せだったという妄執も、現在の不遇も全てを忘れてしまえば正しく今を生きれるはず。
かくして、物騒にも集まった40のヒト型は各々の現実へと戻っていった。
ある者は農民として、ある者は商人として、ある者は奴隷として、ある者は娼婦として。
誰もが等しく今を生きていくことだろう。
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