第15話 成長
「また、会いに来るから。」
「うん。俺も、またそっち行く。」
空港へテツヤを見送りに来た。カズキ兄さんも一緒だ。
「テツヤ、色々ごめん。そんで、ありがとう。」
カズキ兄さんとテツヤが別れのハグをした。お互いの背中をポンポンと叩いている。俺とテツヤは、最後に手と手をタッチさせ、別れた。テツヤは宝塚へ帰って行った。
それから、俺とカズキ兄さんの訓練所生活には、変化がもたらされた。カズキ兄さんは例の年下のファン、ケイスケと親しくなり、訓練中もよく会話をするようになった。いつも俺とばかり一緒にいて、他の訓練生と話もしなかったのだから、大きな変化だ。そして、俺も徐々に周りの人と会話をするようになった。二人組で訓練をする時など、手近にいる人と組んだりして。親しくなってみると、俺たちと話してみたかった、と言ってくれる人も多い。やっぱり、内輪で固まっていたら良くない。こうやって交友を広げていくと、なんだか楽しい。役者志望の人からアドバイスをもらう事もあるし、ダンスの事でこちらからアドバイスする事もある。そうやって、お互いに利するところがあるというもの。もっと早く皆と親しくなっておけば良かったのだ。人見知りはこれだから。
テツヤはとっくに周りと打ち解けているらしい。早速楽器に関してアドバイスをもらったりして、この間ヴァイオリンを弾いている動画を送ってくれた。それが初心者にしては良く弾けているのか、それともダメなのか、俺には判別できなかったのだけれど。
こうやって、あと一年とちょっと、頑張って行こう。どれだけ成長できるか、楽しみだ。自分の事だけではなく、メンバー皆がどれだけ成長して再び集まる事になるのか、それが今からとても楽しみだ。
そして、またテツヤと毎日会える日が来る。それを心待ちにして、今は我慢。我慢だ。頑張れ、俺。
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