第2話 活動休止の延期

 四六時中ずっと二人で一緒にいて、夢のような五日間だった。ローマやポンペイに行って、めちゃくちゃカッコいい遺跡とかを見て、横にはこれまたヨーロッパが似合う綺麗な顔の恋人がいて。長時間のフライトも、横にこの人がいれば退屈しない。俺、今幸せの絶頂だな。おっと?つまり、これからは落ちる一方って事なのか?自分で嫌なフラグ立てちゃったな。


 帰りの飛行機の中で、会社から連絡が入った。なんと、ユウキ兄さんの肩に異常が見つかり、手術をすることになったのだとか。バイクで車との接触事故を起こしたユウキ兄さんの怪我は、足と腰だけだと思われていたのだが、やはり肩も打っていたのか。会社からの連絡によれば、更に半年以上の休養が必要だとの事。つまり、活動休止期間が延びる事になったのだ。

「そろそろ十周年なのに。」

俺が呟くと、

「帰ったらユウキ兄さんのお見舞いに行こう。」

テツヤが静かに言った。

「うん。お土産持って行こう。」

俺がそう言うと、

「ああ、そうだな。どのみちお見舞いには行くよな。」

テツヤがそう言い、二人で顔を見合わせてちょっと笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る