第一話 世界の平和と自身の破滅の、第一歩

 世界は魔王軍を中心とする勢力と、長きにわたる攻防を各地で繰り広げていた。


 その長きに渡る戦いにも、決着がつこうとしていた。






 一人の少女よって。








 魔王の爪が、破壊を込めて振り下ろされる。




 それを受け流し、一つを叩き斬る勇者の少女――ルミナは剣を構え、凛とした視線を魔王へと向ける。




 ルミナはそのまま自身の何倍もの大きさを持つ魔王の巨躯へ立ち向かう。






 魔王が炎を放つも、ルミナの身を焼くことはなかった。


 炎は剣にまとわれ、彼女は走る。






 世界に平和を取り戻すため、散っていったもののため。


 あらゆる想いを一手に引き受け、ルミナは剣を振り下ろす。




 ついに魔王の体に、炎の刃が突き立てられた。








 だが、魔王もただではやられなかった。


 死に際に、魔王はその手をルミナに向け、黒き波動を放つ。






 それと同時に、自分に何かが入り込むかのような錯覚を受けた。






 魔王は邪悪な笑みを湛えながら、炎に焼かれ、完全に消失していった。


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