明日のわたし
皆川翠
明日のわたし
明日のわたしはどんな一日を過ごすのかな、と、明日に思いを巡らせる。
明日も変わらず、学校に行って、退屈な授業を受けて、友達とご飯を食べて、退屈な授業を受けて、帰ってきて、ご飯を食べて、宿題をして、お風呂に入って、明日のわたしはどんな一日を過ごすのだろうと考える。
あれ、これじゃただのループだね。
人生なんてずーっと同じことを繰り返すんだよね。何年に一回か、転機があって、その間はずっと同じことをただ繰り返すんだ。
変わり映えのしない日常。でも、安定にそんな日常を繰り返せることがどんなに幸せか、突然に思い知らされる。「変わり映えのしない」なんて言っていられることが幸せなことなのだと、強制的に理解させられる出来事が必ず起こる。
それは明日かもしれないし、明日じゃないかもしれない。
もしかしたら、3分後かもしれない。
そう、変わり映えのしない日常がどんなに幸せだったか。
当たり前にみんなと会える。笑い顔が見られる。当たり前の日常を私たちは奪われることになった。
新型コロナウイルス、ニュースでちらほら聞くようになったな、なんて思っていたら、唐突に私たちの日常は終わった。
こんなことになるなんて誰が予想してたかな。
みんなに会えない。当たり前に毎日隣にいたはずの友達も、家から出ることすらできないで、一緒に退屈な授業さえ受けることは叶わない。
会えるようになっても、当たり前に見ていたみんなの笑う顔も、薄い布一枚隔てて何もわからない。目でしか、表情を汲み取れない。
また、あの日みたいに、笑い合いたい。
「20歳の集い」。
20歳になって、成人式に行く。それが当たり前だと思ってた。それが、18歳で成人になって、成人式じゃなくて20歳の集いに行くことになるなんて。
ほんとうに、人生は何があるかわからないんだね。明日のわたしがどうなるかなんて、わたしにもわからない。わたしにはどうすることもできないことだってたくさんある。
でも、今私は幸せだ。
あの日みたいに、みんなで笑い合える。当たり前のように、みんなの顔が見える。
たった数年で、こんなに変わってしまうのだから、何十年も先のことなんて全く予想かつかない。
でもそれでいいのかも。未来のこと、わからない方が楽しいかも。
今日のわたしとどこも同じじゃないあの日のわたしに、全く変わらない明日のわたしに言うんだ。
さよなら、あの日のわたし。
おはよう、明日のわたし。
明日のわたし 皆川翠 @kusunokiP_888
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