読まれることのない手紙 二十一通目
君の存在は僕にとって最後の隠れ家だった
何も知らない頃、僕はバイクを速く走らせることに自信を持っていた
しかしサーキットを訪れたとき、そんな自信は吹き飛んだ
そこには僕の踏み込めない領域まで、平気で踏み込んでいく男たちがいた
僕には彼らは命が惜しくないようにすら見えた
勝ち気な僕は、懸命に練習し技をみがいた
そして彼らに挑んだ
しかし技を磨けば磨くほど、彼らと僕の間に在る壁がはっきりと見え始めた
・・・彼らは、自身のすべてをかけて走っているのだ
過去も、未来も、何もかもをかえりみず
ただ純粋なまでに今という瞬間を生きていた
僕は強さがほしかった
自分の限界と対峙したときに見える恐怖を、失われる未来の予見を
振り払う勇気がほしかった
あのときの僕には見えない、その壁の先がどうしても見たかった
そして僕の最後の安息の地、君と別れることを決断した
to Haruka from S
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます