読まれることのない手紙 十九通目

「子供の頃、お父さんとの記憶ってほとんどないの・・・」

寂しそうな君の横顔が鮮明に残っている


会社の役員をしていた君のお父さん

きっと忙しかったのだろう・・・


「出かけるときはいつもお母さんと弟だけだったの」


「寂しくなって私が泣いていると、

いつもお母さんは泣いている私の口に手のひらをあてて、アバアバアバってするのよ」


「それで私はいつも自分の泣き声が可笑しくなってしまって、

泣き笑いしてしまっていたわ・・・」

その話をし終えると、いつも君はクスッと笑って見せた


でも、僕は笑顔の後に見せる君の寂しそうな横顔を見るたびに

君を抱きしめたい衝動を抑えることができなかったんだ


to Haruka from S

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