読まれることのない手紙 十七通目

涙は僕らにとって絶対のものだった

涙している者は、

それがどんな状況であっても

抱きしめられる権利があった


感動し流す涙、寂しさにふるえる涙

謝罪の涙、慈愛の涙

僕らの間で流す涙に保身や嘘などなかった


僕が涙を流すとき、どんなときでも

どこからでも駆けつけて

君は暖かく抱きしめてくれた


だから君が涙を流すとき

僕はどんなに怒っていても

どんな理由があろうとも

すべてを放棄して心から抱きしめた


今僕は、涙する女性を目の前にしても

無条件に抱きしめることができない


to Haruka from S

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