読まれることのない手紙 十二通目
毎月14日は僕たちの記念日だった
ふたりが交際を始めた日
珍しく僕から言い出した、恥ずかしい記念日の思い出・・・
君と一緒にいた5年間
たった一度だけ会えない14日を君は覚えているだろうか
それは、、僕が初めて公式試合でトロフィーを手にした日
東北のサーキットから、たった一人で持ち帰ったトロフィー
開催が遅くなった表彰式
僕は急いで、午前0時までに、15日になる前に
必死で車を飛ばして帰ってきたことを君は知っているだろうか
あの日、PM11:50、僕は君の家の前にたどりついていた
灯の消えた君の部屋を見上げ
階下のリビングの明かりをひとり見つめていたんだ
翌朝、君はいのいちばんで僕の部屋にやって来たよね
僕は、いつものように寝たふりだった
ゆすり起こされ、、
「レースどうだったの?」という君の心配そうな問いかけに
僕は恥ずかしくて、何も言わず
床に転がったトロフィーを指さしたんだ
あのときの、君のうれしそうな顔が忘れられない
チームに渡すからと言って、欲しがる君にあげられなかったあのトロフィー
代わりにいつか、一等のトロフィーをあげると約束したことを僕はずっと覚えている
レースをやめた今も、苦しいときに無意識に口にする「負けられない、、」
それはあのとき君とした、あの約束からなんだ
to Haruka from S
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