2024年1月11日 19:06
地平線への応援コメント
拝読しました。率直な感想としては、三人の関係性が、それほど深いものだとは感じられませんでした。「欠かせない存在」と言い切っている市川くんに対して、作中で語られるエピソードが少し淡泊だと思います。純粋な心を持つ高校生だとしても、二人と違ってフェアで穏やかな性格だから、なんとなく三人で行動することが多かったから、二人の間を取り持ってくれたから、だから三人でどこまでも走り続けたい、では動機づけが弱いと思います。かえって「なんとなく」という半端な言葉を使ってしまったがゆえに、それ以降の市川くんに対する印象を弱めてしまっているようにも感じます。読者の想像を妨げる言葉となってしまっているような。きっと作中では描かれていない様々なエピソードがあっての関係性だと思うのですが、短編だからこそ、三人の関係性について読者の思考を走らせるトリガーは必要だと思いました。想像を広げる先が欲しいです。近況ノートで「掴みどころのない感情」と書かれていましたが、それをただ読まされるだけでは少し退屈だなーと思ってしまう欲深な読者もいるのです。二人でいるシーンは仲睦ましく丁寧に描かれていますが、早朝、三人が揃う回想シーンになると、少し雑になったようにも感じました。二人でいるシーンと同様に、あるいはそれ以上に仲睦ましく(いちゃいちゃしろということではなく)三人でいる姿が描かれていればその後の感情の動きも納得できるのですが、作者様自身が市川くんをしっかりと思い浮かべることができていないのでは? と思えるほど、市川くんが出てきた途端に文章が弱くなります。地平線に向かって走り出す三人を、ぽかんとした表情で見送っている読者も多いのではないか? と心配になりました。三人に共通するのは「走る」ということだと思うのですが、そこが淡泊に終わってしまっているので、繋がりまでも薄く見えてしまっています。回想シーンだからあえて薄くしたのかもしれませんが、作品のキーパーソンでもある人物なので、もっとしっかりとした印象を(走る姿を)読者に残さないと、三人である必要性に疑問を持つ読者が出てきてしまうのではないかとも思いました。最後の一文。まるで三人の手が重なるような描写はとても良かったです。最近の言葉で言えば「エモい」シーンです。掴みどころのない感情を、しっかりと握り締めて離さない、とも読めれば、一発逆転を狙えるほどにめちゃくちゃにエモいシーンです。ただ、そのキーとなる「手袋」が市川くんの存在と共に希薄になってしまっており、浅学な自分などは何度も読み直して、ようやくそう読めることができるといったレベルでした(これも盛大な読み違いの可能性が大いにありますが……)お題をもとに書かれた作品のようなので、習作という位置づけなのかもしれませんが、そうであればなおのことしっかりと読み込んでお応えしようと思った結果、以上のような批評になりました。商業デビューされている作者様に対して、忖度することはかえって失礼にあたると思い、思ったこと、感じたことを全て書かせて頂きました。この度は企画へのご参加、ありがとうございました。(長文失礼しました)
作者からの返信
東雲そわさま企画をありがとうございます!とても丁寧な感想もいただき、感謝いたします。自分が書いた小説を、読者の方がどう読んでくださるのか。生の声がお聞きできて、とても勉強になりました。地道に丁寧に、書いていきたいと思います。ありがとうございました!
地平線への応援コメント
拝読しました。
率直な感想としては、三人の関係性が、それほど深いものだとは感じられませんでした。
「欠かせない存在」と言い切っている市川くんに対して、作中で語られるエピソードが少し淡泊だと思います。
純粋な心を持つ高校生だとしても、二人と違ってフェアで穏やかな性格だから、なんとなく三人で行動することが多かったから、二人の間を取り持ってくれたから、だから三人でどこまでも走り続けたい、では動機づけが弱いと思います。
かえって「なんとなく」という半端な言葉を使ってしまったがゆえに、それ以降の市川くんに対する印象を弱めてしまっているようにも感じます。
読者の想像を妨げる言葉となってしまっているような。
きっと作中では描かれていない様々なエピソードがあっての関係性だと思うのですが、短編だからこそ、三人の関係性について読者の思考を走らせるトリガーは必要だと思いました。想像を広げる先が欲しいです。
近況ノートで「掴みどころのない感情」と書かれていましたが、それをただ読まされるだけでは少し退屈だなーと思ってしまう欲深な読者もいるのです。
二人でいるシーンは仲睦ましく丁寧に描かれていますが、早朝、三人が揃う回想シーンになると、少し雑になったようにも感じました。
二人でいるシーンと同様に、あるいはそれ以上に仲睦ましく(いちゃいちゃしろということではなく)三人でいる姿が描かれていればその後の感情の動きも納得できるのですが、作者様自身が市川くんをしっかりと思い浮かべることができていないのでは? と思えるほど、市川くんが出てきた途端に文章が弱くなります。
地平線に向かって走り出す三人を、ぽかんとした表情で見送っている読者も多いのではないか? と心配になりました。
三人に共通するのは「走る」ということだと思うのですが、そこが淡泊に終わってしまっているので、繋がりまでも薄く見えてしまっています。
回想シーンだからあえて薄くしたのかもしれませんが、作品のキーパーソンでもある人物なので、もっとしっかりとした印象を(走る姿を)読者に残さないと、三人である必要性に疑問を持つ読者が出てきてしまうのではないかとも思いました。
最後の一文。まるで三人の手が重なるような描写はとても良かったです。最近の言葉で言えば「エモい」シーンです。掴みどころのない感情を、しっかりと握り締めて離さない、とも読めれば、一発逆転を狙えるほどにめちゃくちゃにエモいシーンです。
ただ、そのキーとなる「手袋」が市川くんの存在と共に希薄になってしまっており、浅学な自分などは何度も読み直して、ようやくそう読めることができるといったレベルでした(これも盛大な読み違いの可能性が大いにありますが……)
お題をもとに書かれた作品のようなので、習作という位置づけなのかもしれませんが、そうであればなおのことしっかりと読み込んでお応えしようと思った結果、以上のような批評になりました。
商業デビューされている作者様に対して、忖度することはかえって失礼にあたると思い、思ったこと、感じたことを全て書かせて頂きました。
この度は企画へのご参加、ありがとうございました。
(長文失礼しました)
作者からの返信
東雲そわさま
企画をありがとうございます!
とても丁寧な感想もいただき、感謝いたします。
自分が書いた小説を、読者の方がどう読んでくださるのか。
生の声がお聞きできて、とても勉強になりました。
地道に丁寧に、書いていきたいと思います。
ありがとうございました!