ダンジョンライダー戦鬼

@konisioonisi

第1話

「やっやだ!やだ!」


恐怖で腰がすくんでしまった女性は必死にオークを退けようとする。だが、オークはまるで「痛くも痒くもない」と言っているかのように嘲笑いながら近づいている。


《天音ちゃん!にげて!》

《ああ、もう駄目だ》

《天音ちゃん今までありがとう》


彼女の周りを飛ぶドローンにはコメントが映し出されていて、阿鼻叫喚していることがすぐに分かる。逃げてと叫ぶもの、諦めて見るのをやめるもの、感謝するもの。同接人数はどんどんと減っていく。


彼女はダンジョンチューバー。突然現れたダンジョンの探索を配信する職業。その中でも彼女は無類の強さを持っていた。そんな彼女でも目の前のオークには全くと言っていいほど非力だった。なんせ相手は特殊個体。通常の何倍もある力を持つ。


やがて彼女はオークに退路を防がれてしまった。


「やめて!助けて!」


防具を外しビリビリと服を破り、裸になる直前、


「とぅ!」

「グケッ!」


オークに横から不意打ちが入る。オークは横から吹き飛ばされてしまう。


「俺が来たからにはもう大丈夫だ!」

「あっあなたは?」


そこに立っていたのは全身を鉄の防具を付けたかのようなフォルムの男だった。顔には剣を模したかのようなものが、腰には少し分厚いベルトを装着していた。


「俺はダンジョンライダー戦鬼。よろしく。」

「はっはい!よろしくお願いします。じゃなくて助けてください!」

「グググ」


オークが起き上がってこちらに向かってダッシュしてきた。


「よし!俺が相手だ!」

『マジックリンク』


彼がベルトを操作したかと思うとどこからともなく声が聞こえてきた。そして彼はどこからともなくカードを取り出してベルトにセットした。


『疑似魔法 エンチャントブースト』


瞬間、視認できるほどの魔素が彼の足に集まった。


「これで決めるぜ!」


『ファイナルリンク』


まわりの魔力が彼に集まっていく…


『疑似必殺 ライダーキック』


地面を蹴って体を浮かし、壁を蹴ってオークに向かう。魔素をまとった足がオークを狙う。


「ライダァァァキィィィク!」


彼の攻撃がオークを貫通させた。あまりにも理不尽で華麗な一撃だった。彼女はオークが倒されたことにより気が抜けて意識を手放してしまった...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る