剣と龍のさすらい道中

パンメロン饅頭

第1話 研究の代償は

「うーん、こうか?いや、こっちを増やして…」

毎日毎日同じ事に対して頭を熱くする。頭から湯気が出てきそうな気がするほど。いつもと変わらない研究漬けの日々。ここ1週間は特に集中して研究に取り組んでいる。朝と夜の区別は、カーテンによって無くなった。

ーコンコン

扉に向かって、どうぞー、と力のない返事をする。

「進捗はどうですか?研究室失礼しますっ?!うっ!?なんですかこのひどい匂いは?!」

「進捗はあまり良くないです。それと、この匂いには慣れてください。いつ来てもこうなので。」

わたしは、ぶっきらぼうに今期の当番に当たった人に言う。

「それより、毎日ご飯食べているんですか?」

「そういえば、かれこれ八時間は食べてないですね。」

「はぁ、とりあえずこちらを向いて口を開けてください。」

少し腹は立ったが、私は、男の騎士の言う通りにする。すると、これでもか、と言わんばかりの力でおにぎり三つを口に突っ込まれる。

「はひふふんへふか?!」

私は、動かない口で怒る。

「アハハハハっ!何をおっしゃているのかわかりませんよ?」

挑発気味に言われ、腹が立ったわたしは、おにぎりを三つ一気に飲み込んだ。そして、近くにあった匂いをニンジンにする薬液をぶっかけてやった。そして、イライラを消化するため研究へと戻った。

その後は、王様から依頼された魔剣の制作研究に取り掛かる。何日か試行錯誤を繰り返し、仮説を立てることができた。なので、これから試してみるのだ。

「まずは、そこら辺に売ってる剣を用意して。一番と二番の液体を用意して、順番に掛ければできるはず。よし、始めよう!一番を掛けて、二番をかけて…」

掛け終わると、剣がとてつもなく発光した。一週間徹夜した目には厳しい光で、思わず後ろにこけてしまった。そのせいで、大量の薬液を浴びてしまった。

気がつくと、私の体が目の前にあって。

(ん〜???????)

頭が真っ白になる。まるで突然目の前に珍しい材料が現れた時のように。

(状況として、まず目の前に自分が在る。この時点で既におかしいが、他にも、やけに痩せた気がする。それだけじゃ無くて、体に魔力を通すと動くこともわかった。私の服が犠牲になったが。)

もしかして

(私、魔剣になってるーーー?!?!なってるー?!ナッテルー?!ナッテルー?!さて、セルフやまびこもした。ほんとどうしよ。とりあえず剣なら切れ味の実験してくるか。)



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