力比べ

Grisly

力比べ

昔話のヒーロー。


桃太郎、浦島太郎、金太郎が集まり、

誰が1番強いのかという話になった。


実にくだらないことだが、

男とはそういう物である。


ストリートレースで全てを決める

スタイリッシュな某国とは違い、


未だに我が国では、高校。いや、大学まで、

足の速い者が、それだけの理由で、

クラスの人気者となってしまう。


それを育む土壌は充分にあると言える。

他人事と、馬鹿にすることは出来ないのだ。

我々は反省しなければならない。




「金太郎は、熊に勝つのは凄いことだが、

 私は鬼を打ち倒した。

 

 本州の話なので、

 せいぜいツキノワグマだろう。

 

 北海道で、ヒグマなら話は別だが、

 鬼の方が体格がでかいと言える。

 

 したがって私の方が強い。」


桃太郎は自己主張が強い。

加えて、金太郎。

人間と話すのは不得意と見える。

だから友達は動物しかおらず…


あえなく負けてしまった。




桃太郎は更に続ける。

彼は自己主張が強い。

吉備団子とかいう

怪しい物を摂取しているからだ。

おそらくアッパー系。


凄い勢いで、浦島太郎を追い詰めていく。


「お前は、強さ等という次元の話ではないぞ。

 海亀を助けたまでは良いとして、

 乙姫をたぶらかしただけじゃないか。

 

 どこに強さがあるんだ。

 情けない。」


彼は自己主張が激しい。

お調子者でもある。

言い出したら止まらない。

自分は全て正しいと疑わない。


「どうせ竜宮城へ行って

 接待してもらうんだから、

 乙姫でも強引に押し倒して、

 竜宮城を乗っ取ってやったら良い。

 二つの意味で。」


ああ。言い過ぎてしまった。

彼は止まらないのである。

したがって、人間は付いて来ず、

犬猿雉を薬漬けにするしか無くなったのだ。




その頃、浦島太郎はこの録音データを

テレビ局へ持ち込んだ。


当然、主婦層、フェミニスト、

女子高生に至るまで、袋叩きにされる。

いつの時代も、女性に勝るものは無いのだ。


それを心得ている彼こそ

1番強いと言える…



 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

力比べ Grisly @grisly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ