【異世界ガイドマップ】5.0★★★★★(57894件) を手に入れたので【クチコミ】を頼りに悠々自適な異世界旅行スローライフを満喫します
007【クチコミ】があれば【装備選び】もハズレなし! だが、俺は一体誰なんだ?
007【クチコミ】があれば【装備選び】もハズレなし! だが、俺は一体誰なんだ?
「タビト、あそこはどうかな? 人も多いみたい」
「おお、めちゃくちゃデカいな」
元の世界と違って異世界にはチェーン店が存在しない(ミルフィ曰く)。
なので、色んな国へ行ったとしても、安心できる店がないのだ。
普通なら運に頼るしかない。だが、俺は違う。
ミルフィが指を差した装備屋は、とても大きな外観だった。
デカい看板にデカい入口、人がひっきりなしに訪れている。
いつもなら先にクチコミをするが、興味があったのでとりあえず中へ入ることにした。
「すげえ、これが武器防具か。いかついな」
店内は広く、様々な武器や防具が壁に飾られていた。
明らかにデカくて重い斧、大剣、使いやすそうなソード、ロングソード。
弓、短剣、盾、魔法使いの杖もある。
こんなの心躍らないというほうがおかしい。
「何かお探しですか?」
店員さんも粗暴な感じではなく、とても清潔感のある女性だ。
それだけで★★★★はある――。
【オルトリア武器防具店】
1.4★☆☆☆☆(14566)
C級冒険者
★☆☆☆☆
ここで買った武器が一日で折れた
アフターサービスもない
D級冒険者
★☆☆☆☆
武器の手入れが全然されてない
新品だと思ったら中古だった
C級冒険者
★☆☆☆☆
相場よりかなり高い
絶対に行かない方がいい
手入れも全然ダメ
……出るか。
「こちらのバトルアックスは、先週新しく――」
「ほうほうにゃあ――ふぇ!? どうしたのタビトおおおおお」
「すみません、予定ができました。行くぞミルフィ」
急いで外に出たあと、彼女に説明する。
「なるほど。やっぱり見た目じゃわからないねえ」
「よくあることだな。次探そうか」
「武器を整えるだけだから別にどこでも良かったよ?」
「ちゃんとしたところで見てもらったほうがいい。武器っていっても、思い入れあるだろ」
「……なんで知ってるの?」
昨日、敵を倒したあと、丁寧に血を拭いてるのを見ていた。
それだけじゃなく、刃こぼれを気にしていたり、所作が丁寧だったのだ。
「気づいただけだ。ほら、行こうぜ」
「……ふふふ、タビトは優しいにゃ」
マップは個別で検索もできるらしいので、装備屋を検索。
いくつも色がついて表示される。
「よし、次は東の店へ行こう。足は大丈夫か?」
「問題ないないい。一日中歩いても平気にゃ!」
確かにミルフィのふとももは柔軟性がありそうだ。むちむち!
それから俺たちは、色んな装備屋を回った。
【エリアの武器屋】
2.4★★☆☆(7894)
E級冒険者
★★☆☆☆
そこそこ安いが、防具がない
C級冒険者
★☆☆☆☆
買った剣がすぐ折れた
【ドルストリの防具屋】
2.7★★★☆☆(4788)
E級冒険者
★★☆☆☆
防具専門、値段は少し高い
D級冒険者
★★★☆☆
買取はいいが、販売品は手を抜いてる印象
だが納得いくところがなかった。
いやむしろ、今まで当たりを見つけすぎていた。
元の世界でも良い店はそうそう見つかるものじゃない。
たとえ、ップがあったとしても。
だがそのときー――。
【ミリの秘密商店】
4.9★★★★★(476)
B級冒険者
★★★★★
値段も安いし、質がいい
S級冒険者
★★★★★
魔石を組み込んでくれたり、レア武器や防具が置いている
数こそ少ないものの、質がかなり良い
A級冒険者
★★★★★
王都で装備を買うならここしかない
他は行く意味がない
リルド
★★★★★
昔馴染がいる武器防具店
店主は少しおっかねえが、意外に優しいとこもある
「リルドって……宿屋のオッサンか! それにSとA級!? すげえな。えーと場所は……あれか?」
オッサンの名前があるのには驚いた。
マップ上、小道に視線を向ける。
絡まれた思い出もよみがえるが、ミルフィがいれば怖いもんなしだ。
そういえば、魔の森のクチコミにもミルフィの名前が書かれていた。
もしかして知り合うことで名前が表記されるのだろうか。
「失礼しまーす」
重厚な木扉を開く。
中は何というか、狭かった。良い店の共通点かもしれない。パン屋も小さいほうが美味いしな。
デカい武器や防具はなく、ガラス張りの棚に少し置いてあるくらいだ。
店員はいない。
だがミルフィは、それをみて飛びついた。
「す、すごいにゃあ!?」
「どうした、どれが凄いんだ?」
「この辺、S級武器とS級防具ばかりだよ」
「Sか。って――S!?」
同じようにガラスにへばりつく。
ミルフィが指差しているのは、小さな短刀だ。
何の変哲もない黒い小さな剣。
……これが?
「あらあら、お客さんは久しぶりだねえ。――誰の紹介だい?」
突然声が聞こえる。
慌てて身体を起こすと、なんというか、おっぱいが立っていた。
いやそれは嘘だ。
谷間がぱっくり空いた服、セクシーすぎる黒髪のお姉さん、魔法使いのローブみたいなものを身にまとっている。
武器防具屋の店主というより、魔女みたいな感じだ。
「え、ええと――り、リルドのおっさん知ってますか?」
俺は、咄嗟に名前を出す。
紹介ではないが、まあそんな感じだ。
「ふうん、リルドの知り合いねえ。元気してるの?」
「はい、元気にがははって叫んでます」
「ふふふ、相変わらずね。――ん? あなた、前にお店来てなかった?」
「え? 俺ですか?」
「いつだったかしら……忘れたわ。年を取ると記憶がねえ」
誰かと間違えているのだろう。
話しの本題に入る前に、ミルフィに断りを入れ、試してみたいことを尋ねた。
「この武器って……近くで見ることできます?」
S級武器の短剣。
魔女は少し微笑んだ後、ガラス張りの棚から取り出し、ゆっくりと手渡してくれた。
――俺は、ポイズンスマイルキノコの出来事を思い出す。
……さて、どうなる。
アイテム名:漆黒の短刀
S級武器:★★★★★
効果:従者の魔力を吸い取ることで形を変化させる。
――出た。
「――漆黒の短刀、ですか?」
「凄い……どうして名前、わかったの?」
「えええと、その、魔法みたいな?」
この世界で魔法は当たり前だ。
とはいえガイドブックは稀有らしい。
詳しく話さなくていいだろう。
しかし魔女は、思いのほか嬉しかったらしく、目を輝かせていた。
「名前まで知ってる人は少ないのよね。ふふふ、あなたのこと気に入っちゃった。二人とも、名前は?」
「タビトです」
「私はミルフィっていいます」
「タビトとミルフィね、私は魔女ミリよ。よろしく」
やっぱり魔女なんかいっ!
だがリルドのクチコミの恐ろしいって感じはない。
まあ、雰囲気は凄いが。
「プレゼントしたいところだけど、流石にこれはねえ。もし買うなら安くしてあげようか?」
「……いくらですか?」
「金貨100枚でいいわよ」
安いのか高いのかわからないが、ミルフィ曰くとんでもなく破格らしい。
だが買えないので残念ながら丁寧に断った。
一応、うるうるした目で見つめてみたがタダではもらえなかった。
そう都合は良くない。
武器の手入れをお願いする前に、俺は、もう一つお願いすることがあった。
「買取もしてますか?」
「もちろんよ」
旅行鞄から既に取り出していた血塗られた短剣を取り出す。
もう少し綺麗にしておくべきだったな。
「あ、すいま――」
「よくあることよ。あら残念、魔法の刻印がされているのね」
「……刻印?」
「自分専用のものにすることで、魔力を上乗せする契約よ。結構な値段とできるところも少ないから、あまりしないんだけどねえ」
ミルフィに視線を向けてみたが、首を横にぶんぶん、知らないという。
そして驚いたのは、この持ち主は
というか、刻印したあとは、本人しか扱えないとのことだ。
「……どういうことですか?」
「? 自分でしたんじゃないの?」
「……? いや、これ拾ったんですよ」
「拾った? よくわからないけれど、刻印したのはあなたで間違いないわ。そんなこと、私が間違えるわけないから。――見てて」
次の瞬間、ミリが短剣を手に振りかぶる。
驚いてミルフィが前に出ようとするが、ガラスが割れたかのような音が響いた。
まるで、セーフティーがかかっているみたいに動かなくなったのだ。
やがてそれは治まるが、つまり、専用ってことか。
「ほらね」
念のためミルフィにもお願いしたが、結果は同じ。
……ありえない。
拾ったのは俺だが、これは落ちていたものだ。
それから刻印なんてしていない。
そのとき、ミリが思い出したわと言った。
「……あなた、半年前ぐらい来たじゃない。あの時は何も買わなかったけど覚えてるわ」
「半年前? それ、詳しく教えてもらえますか?」
それは、驚くべき話だった。
ミリ曰く、半年前、俺はこの店に訪れた。
その時の話では、人を探しているとかですぐに去ったという。
つまり……異世界転生ではなく、俺は誰かに乗り移ったってことか?
それなら辻褄が合う。
……なら、俺は誰なんだ?
「それにこの武器、結構いいものよ。見たことないけれど、おそらくS級相当じゃないかしら」
「マジっすか……」
確かに切れ味が良すぎるとは思っていた。
ああもう、謎が多すぎる。
考えれば考えるほどおかしい点が浮かび上がる。
俺は初めての戦闘にもかかわらず魔物の動きが見えていた。
身体も動いた。
まるで、戦うことが日常だったみたな。
「とりあえず綺麗にしておくわね」
するとミリさんは、短剣に手を当てた。光が広がっていくと共に、血が消えて綺麗になっていく。
「わあ、ミリさんすごいにゃあ! 浄化魔法を使えるんですね」
「ふふふ、そうね」
綺麗になった手渡したくれた短剣はとても輝いていた。
「ええと、お金は――」
「いらないわ。他にも色々見ていいわよ。まあどれも高いけどね。ほら、彼女のもあるんでしょ?」
「ありがとにゃあ!」
結局俺たちはタダで武器を綺麗にしてもらった。
それから色々と装備も見せてくれた。
目利きの方法も教えてもらったが、俺の能力ならそもそも間違った物を買うこともあまりなさそうだ。
だが俺も全部の武器が分かるわけじゃなかった。
もしかしたら、これもレベルが必要なのかもしれない。
「またおいで。武器の手入れならいつでもしてあげるわよ。猫人族のこともわかったら教えてあげるね」
「ありがとうございます」
初めての武器防具屋、でも本当にいい人に巡り合えた。
猫人族のことも調べてくれるらしい。
外に出たあと、ミルフィが満足げに武器を眺める。
だが、それよりも――。
「ミルフィ、わかったことがある」
「ふえ? どうしたの?」
「多分だが本当の俺は死んだ、いや殺されたんだと思う」
「ど、どういうことにゃ!?」
俺は思い出す、初めてこの武器を拾った時のことを。
――【血塗られた短剣】
――殺された冒険者の落とし物。
――売却価格不明。
頭に血がついていたのは、殺された時の怪我だったのだろう。
失血死かどうかはわからない。
で、俺の魂がこの肉体に乗り移った。
傷が塞がっていた理由はわからないが。
半年前、ミリさんの店に訪れていたこと。
武器の刻印、やけに身体が軽かったこと。
疑問なのは、人を探していたってことだ。
半年前からこの王都に滞在していたのだろうか。
けど誰からも声をかけられることなんてなかった。
そもそもなんであの森に?
……わからないことだらけだ。
ひとまず本当の俺を知る人を探してみたい。
それを、全部ミルフィに伝えた。
「だったら冒険者ギルド行ってみる? もし登録してたら、タビトの本当の名前がわかるかも。まだ、あまり信じられないけど……ごめんね」
「気にしないでくれ。けど、ミルフィの言う通りだな。人を探してたってことは、旅をしてたってことだ。その場合、旅の資金とかも考えると、冒険者になってる可能性は高い」
思いのほか早く自分のことかわかるかもしれない。
冒険者ギルドか、こんな時でなんだが、初めてでわくわくするな。
とはいえ俺は、、一体何者なんだろうか。
ミルフィ
★★★★★
ミリ姉さん優しかった。
見たところ、めちゃくちゃ強そうだったから手合わせしてみたいにゃ
タビト
★★★★★
無料サービスをしてくれる魔女ミリ
おっぱいが大きくて、エロかった
身体(自分)のことも教えてくれて、最高だぜ!
ミリ
★★★★★
久しぶりにいい子たちと話せて楽しかったわあ
女の子も強そうだけど、男の子のほうはもっと強そうねえ
虐めてみたいわあ
――――――――――――――――――――――
あとがき。
七話目です。
少し大きな転機です。
次回【冒険者ギルド】で【とんでもない真実】が明かされます。
ランキング、ぐんぐん伸びています!
カクヨムコン9、異世界16位です! 凄すぎません!?
良ければ【おすすめクチコミ(レビュー)】投稿してもらっていいんですよ!? 待ってますよ!? ほしいですよ!?
今作品でギフトを頂きましたので、サポート限定を一つ投稿しました。
異世界ガイドマップ――【シャドウナイト酒場】SS【2668文字】
本当のタビトについて本編には関係ない程度に触れています。
良ければ、お楽しみください。
【読者の皆様へお願いでございます】
カクヨムコン9に参加しています。
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