カクヨムコン、スタートダッシュ!

夕日ゆうや

垢バン

 2023年12月1日金曜日。

 この日、人類は絶望した。

 第9回カクヨムWeb小説コンテスト。

 通称カクヨムコン9。

 大規模な小説コンテストがそこにはあった。

 彼ら彼女らはその二か月間のために一年前から準備を進めている者も多い。

 大まかなプロット。肉付け。改稿。

 様々な努力の結晶がそこにはある。

 だが、一時間もしないうちに応募総数は一万作品を超えた。

 そのバトルロワイヤルで死闘を繰り広げる参加者たち。

 その全てが『書籍化』を目指している。

 気品溢れる作品。突飛な作品。テンプレを意識した作品。

 様々なジャンルが、色々な物語が、ここには集結していた。

 みんなが、みんな、同じモチベーションとは限らないが、そこには人の意思が介在していた。

 そのコンテスト一つをとってみても、僕たちは命を削り、頑張る。

 徹夜する日もある。

 そんな日々を過ごし、ようやくこぎ着けたコンテストのスタート。

 不安と緊張でどうにかなりそうだった。

 最初にエピソードを公開する。

 その瞬間、止まっていた針が動きだしたかのうようにPVが伸びる。


 1

 8

 19

 102


 なんと一時間で一億PVを突破した。

 やはりエロいタイトルは売れるらしい。

 そんなスタートからすぐ、運営から垢バンを食らう。

 エロすぎたんだ。




 ピピピ。


 目覚まし時計の音が聞こえてくる。

 カクヨムコン!

 僕は慌てて起きる。

 どうやら寝落ちしていたらしい。

 2023年11月29日金曜日。

 起き上がってみると、書きかけの小説が一つ。

 僕はまたカクヨムコンにうなされていたらしい。


 これは僕たちの始まりの話である。

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