憧れ踏み出す小説家

たっきゅん

第1話 会員登録

「ニックネーム、ニックネームかぁ……」


 ユーザー登録の画面がスマートフォンの画面に表示されてもうすぐ3時間、オレは答えの出ない迷宮を彷徨っていた。


「ニックネームは……、どうすりゃいい!?」


 何も思い浮かばねぇ! いや、浮かびはする。股之下三郎、……却下。ふざけた名前が浮かんでは一応は打ち込んでみるものの、すぐにそれを消しているだけだ。


「もし有名になったらと考えると恥ずかしくて名乗れねーな、ここは無難に……」


 気分を変えようと画面をゲームアプリに切り替える。すると昔に登録したプレイヤーネームが目に入ってきた。


「これだ!」


 オレは閃きを忘れないうちにすぐさまニックネームを打ち込む。画面に表示された『──────』の文字を見直して入力ミスがないことを確認、そして登録ボタンを押した。


【新規作品作成】


 ログイン後に画面に表示された文字、それがオレの小説家としてのスタートラインに立ったことを告げていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る