第24話 大誤送信!

☆☆☆ハプニング!


夏休み。工事現場のバイトを入れておいたので早く起きていると……LEMONが入る。柴橋か……


『わお、佐奈川さんの下着凄いエッチだ。胸大きくて羨ましい。私のは佐奈川さんが選んでくれた下着しかないからさ、どう思う? エロいかな?』


……え? これ友達と間違えてないか? 佐奈川さんって書いてあるし……


すると、柴橋の自撮り画像が送られてきた。黒のレースブラジャー姿で……


多分友達と間違えて送ってるんだけど、し、柴橋こんな派手な下着付けているのか。


え、なんて返せばいいんだろう。間違えてるとかかな。そもそも既読付いちゃってるし……未読無視もできない。


というか、柴橋身体細いな、肋骨が浮かび上がってて……色白だし……胸小さいけど、少しだけ膨らみがあって。それでいてこんな大人っぽくて派手な下着つけてるんだな……おぉ……


『先輩』


柴橋はすぐに下着の画像を消した。もっと見ていたかったが、流石に可哀想だ。


『や、先輩』


『ごめんなさい。こんなはしたない画像送ってしまって、消してください。お願いします。まだ見てないのであれば消しますので、絶対に見ないでください!』


『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい』


柴橋がものすごい謝ってくる。いや、柴橋が謝ることは何もない。むしろラッキーだと……


『凄く大人っぽいと思うよ。いくら友達でもそういう画像送るのはあまり良くないと思う。もし流出したら大変だしさ』


瞬時に『ありがとう』で返そうとしたけど、流石に変態だと疑われるのでやめた。うん。これが一番まともな対応だろう。正直滅茶苦茶ラッキーと思ったのは内心伏せておこう。


『は、はい。ほんとにごめんなさい。気を付けます』


『うん。それじゃ俺は工事現場のバイトあるからこれで』


『はい。本当にごめんなさい。バイト頑張ってください』


この後バイトに集中できなかった。脳裏に何度も柴橋の下着がちらつく。滅茶苦茶エロかった……


〇〇〇悶える柴橋


どうしようどうしよう。佐奈川さんに送る画像間違えたぁぁぁぁ。先輩に送ってしまった。


昨日は一徹目でずっとゲームをやっていたため、雑な判断力になっていた。


どうしようどうしよう。先輩は平気な対応してたけど。絶対に引かれてる……


次合う時に滅茶苦茶気まずい。先輩も派手な下着付けてるはしたない女だと思われている……


『え、柴橋さん。間違えて先輩さんに下着姿の画像送ったって、逆に才能あると思うよ!』


『や、そういう問題じゃなくて、次合う時気まずいし……』


『まぁ、それは避けては通れないけど、気まずいってことは互いに意識しているってことだから、それはそれで前向きに捉えて行こうよ!」


『う、うん。大人っぽいって言われたし』


先輩に褒められたことは嬉しかった。それ以上に恥ずかしさが勝る。


『遠回しにエロいってことだよ、それ、先輩さんも男の子ってこと忘れちゃだめだよ。もしかしたら保存してるかもよ?』


「ぴゃああああああああああああああ!」


家で一人で叫んでしまった。先輩が私のことを見て欲情した……? そんなことないか……でももしそうだったとしたら、凄く嬉しい。保存してくれたら恥ずかしいけど嬉しいな……でもやっぱり恥ずかしい……


でも、先輩が私のこと見てくれるならそれはそれで良い……でも、スタイル良くないし、そんな嬉しくないかも。


男の人って大きい胸ばっかり見てるって、佐奈川さん言ってたし……


「ふへへ……先輩……」


『柴橋さん生きてる? 自分の世界なら戻ってこーい!』


『ごめん。つい色々考えちゃった』


『どうせ下着見られたなら、水着見られても大丈夫だから緊張しなくて済むし!』


そういう問題なのだろうか……


『でも、刺激に慣れ過ぎて水着見せても先輩がなんも反応しない可能性あるし』


『それは考えすぎだと思うよ、意中の相手なら水着姿見られれば嬉しいと思うけど。柴橋さんは先輩さんの下着見た後水着見たらどうなの?』


『嬉しすぎる……先輩も下着の画像送ってくれないかな。間違えて』


『流石にないよそれはー』


☆☆☆休憩時間


灼熱の現場バイトに休憩時間が訪れる。濃い味の味噌ラーメンとおにぎりを食べている。


カロリー高くて最高。チャーシューが美味しい・


「武野。最近調子はどうなんだ?」


煙草をふかした現場監督が話を掛けてくる。


「うっす。特になにもないっすけど……」


「嘘つけ、顔見れば分かんだよ。仕事中も別のこと考えてることぐらい。普通に危ないからやめろよな」


全くもって監督の言う通りだった。


「気を付けます……」


「で、何があったんだ。おっさんに相談してみろ、これでもバツ二で人生経験豊富だぞ」


バツ二なのか監督……


「……仲の良い女子が友達と間違えて、下着姿の写真を送ってきたんですよ」


「なぁに~やっちまったな」


「それ言いたいだけでしょう。いや、ほんとどういうつもりなんすかね。どうしても色々と考えてしまって……」


とりあえず大人の意見も聞きたい。正直、今の自分の気持ちに整理がついてないのだ。


「武野はその子のことが好きなのか?」


「い、いや……そこを……言わないとだめすか」


「おうおう、聞かせろ聞かせろ。休憩時間まだあるんだしよ」


色々と伏せて柴橋とのことを話す。


「すげぇ青春してんな……武野。バイトの話しか聞かなかったから、ちゃんと学校行ってんのか心配になってたんだよ」


いや、学校行ってるから午後からしか入ってないんだけど……


「その子に好意を抱いています。でも、ちょっといろいろあって関係が複雑なんすよ」


「その子って普段下着とか見せるタイプなのか? もし保存しているならみせ――」


保存してるわけないじゃないか……少し後悔しているけど。


「――殺しますよ。少なくとも下着とか見せるタイプじゃないです。地味な子ですし……でも、めっちゃ大人っぽかった……」


「気持ちは分かるな、正直。思春期に異性の下着姿が送られてきたら、俺でもそうなってたと思う。保存しないところはヘタレだけどよ。俺なら保存しているぞ。よく我慢できたな」


「で、その子とプール行くんすよ。俺……大丈夫なんすかねこれで、画像ですら頭抱えてるのに……」


「武野は年下と付き合ってるからかっこいいとこ見せようとしているんだろう」


図星だった。


「でもそうだな。迷えよ若者。青春出来るのも若いうちだけなんだから。年取ってまともな恋愛していないと、俺みたいに騙されちゃうぞ!」


バツ二の監督に言われると説得力人一倍あるな。


「気を付けます……」


この後も現場のバイトは続く。吐き出したおかげで少し気持ちが楽になった。


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