コンテニュー

飛鳥部あかり

ガラスの空の下で




 みんな、なにも考えずにやるんだ。

 

 

 ラスボスに倒されてゲームオーバーになったとする。

 そしたらみんな迷わずにコンテニューして再びゲームを始める。

 もしくは、途中で飽きてしまい私たちは忘れられた存在となってしまう。


 

 私たちはプログラミングされた存在。



 だから指示された通りにしか動けない。

 自我を持って動くことは出来ない。

 機械的に仲間に攻撃をしたり、殺害したりしてしまう。



 だとしても、

 悪役のふりをしたり、

 ずっと同じストーリーを歩んだり、

 痛くて悲しい思いをするのは、辛い。




 ………またプレイヤーがゲームオーバーになった。

 コンテニューをするまでの時間だけ、私たちは自我をもてる。

 私は主人公の“エラ”に話しかける。


 エラはのが目的。

 私はのが目的。

 


 すべてプログラミングされていること。

 変な情は持たないほうが良いが、良心が痛む。



 「エラ、大丈夫? ……どこか痛くない?」

 「うん。 大丈夫だよ」

 「ホントに? 血、出てるよ?」

 「うえぇ…ほんとだぁ……。 でも、私たちは命令通りにしか動けないから、しょうがないよ」

 「ごめんね」

 「そんなこと言わないで。 ……ほら、そろそろコンテニューされるよ」

 「……ほんとだ。 ……頑張ろうね」



 


 

 私は立ち位置について天井を見上げる。

 ガラスのような空にはプレイヤーの姿が見える。


 ガラスのような空には


【リトライしますか?】


 ▶「はい」   

  「いいえ」



 と表示される。

 


 プレイヤーは迷いもなく「はい」をクリックする。






 42回目の私の人生が再びスタートしてしまった。

 

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コンテニュー 飛鳥部あかり @asukabe

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