仮面夫婦を親に持つとある一家の女の子

@satoujirou

第1話 学費はてめぇの金じゃねぇ。

 私は、親族の中に誰1人医療関係者がいない家庭で生まれた。それなのに物心ついた幼稚園の頃から「助産師になりたい」という夢を一切変えず今まで生きてきて現在、助産学科のある学校で日々座学に実習に励んでいる。

 そんなことを聞いた周りの大人たちはみんな口を揃えてこう言う。

      「いいお母さんに育ててもらったんやねぇ。」

それを言われる度に私は胸が苦しくて張り裂けそうな気持ちにかられながら、必死に笑顔を作り「ありがとうございます。」を言う。

 

 何も知らない周りの大人が発した何気ない言葉のせいで私の親は鼻が高くなり私と起こる喧嘩の度に、「誰のおかげで学校受かったと思ってる?」「やめさせる」

もう聞き飽きるくらい聞いてきた。やめさせる?どの口が言っているのか私には理解ができない。学費を払ってくれているのは私の祖父母だからだ。


産んでくれた親は確かに偉大だ。そんなことはわかっている。でも生きているのは自分。自分が生きていく道を選択するのは私の自由だ。

そんなことここでは言えるけれど実際の現実問題学生に1人で生活費をやりくりして働きながら学校に行くことは現実的に難しい。

だから私は今日も自分の将来のために家に帰って親に怒られてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る