嵌められた冒険者の開拓初め

テリヤキサンド

嵌められた冒険者の開拓初め

何もかも無くなった。

そう思ったのは、目の前の何もない荒野を見た時のこと。


こうなった経緯としてはこうだ。

冒険者として、大規模モンスターの討伐戦に参加。

特に有用なスキルなど持っていない俺は死に物狂いで戦って生き残った。

が、その代わりとして残ったのは死んだ者達への誘導疑惑。

有用な若者達が死んだにも関わらず、たいして活躍をしていなかった俺が生き残った。

それだけなら運がいいだけで済んだのだが、生き残りの男が報酬の場にて叫んだ。


 「あいつが仲間を殺した!」と


モンスターに襲われている男の仲間に対し、俺が後ろから切りつけたことでその仲間はモンスターにやられたと発言。

俺はそれを否定したが、敵も味方もわからない状態で他の目撃証言はなく、ほぼソロで活動していた俺を弁護してくれる者はいない。

そして、決め手は生き残りの男が貴族であったこと。

平民出身の俺よりも貴族の証言が優先され、俺は刑に服すことになった。

その刑というのが大規模モンスターの討伐戦後の土地の復興作業、この荒野というわけだ。

普通なら処刑というところだが、処刑するくらいなら少しでも使ってやろうという魂胆だろう。

装備一式は奪われ、苦労して上げたギルドランクは剥奪。

手元に残ったのは背中に背負えるほどの荷物。

これでこの荒野をどうにかしろと・・・。

本当なら逃げ出したところだが、魔法で行動が限定されているため、ここから離れることもできない。

このまま野垂れ死ぬか、モンスターに食われろってところか。

ふざけるな!

お前達の思い通りになってやるか!

こちとら、あの猛攻から死に物狂いで戦い抜いたんだ。

それよりもマシだ!

やってやれないことはないはずだ。

俺は武器と言えるかわからない鍬を持って、気合いの雄叫びを上げる。


こうして、1人っきりの俺の開拓が始まった。

この時、俺は気づいていなかった。

モンスター達を倒しまくったおかげで、かなりレベルが上がったこと、新たなスキルが発現したことを。

やがて、それは世界を震撼させることになることを誰も予期できなかった。

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嵌められた冒険者の開拓初め テリヤキサンド @teriyaki02a

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