第2話 彼の名は?

「紅茶が入りました。どうぞ」

「……あっ、ありがとう。いただきます――じゃなくて!!」


ありさは机を バン!! と叩いた。


「いかがなさいました?」

「聞きたい事が山程あるわ!! 貴方は一体誰なの?」


「私の名は “マッシュ・ド・ビルク”です」

「……ハッシュドビーフ?」


「ハッシュドビーフではありません。マッシュ・ド・ビルクです」

「わ、分かった……!!」


名前を間違われるのは 嫌いらしい。


「ここは女子寮だから 男性は入れない筈なのに―――何故貴方は私の部屋に入れたの?」

「はて…?御咎おとがめは 特に何も無かったですが…?」


絶対おかしい……。

何で誰にも気付かれなかったのかしら?


「ハッシュ…じゃなくて マッシュは日本人じゃないよね?でも何で日本語そんなにペラペラなの?」

「私は…貴女様の使用人ですから」

「……使用人?」


使用人なら何ヵ国語も話せるって事なのかな?


「…さぁ紅茶が冷めます。温かい内にどうぞ」

「う、うん…いただきます(今 話をそらしたわね…)」


私も疲れていたし それ以上は聞かない事にした。


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