合意

第1話

　高校生のA子とB男は付き合っていた。B男の告白は突然で、二人きりの放課後の教室でおこなわれた。それまでB男は女性の噂など聞いたことがなく、男とばかりたむろしていた。

　A子は、彼と付き合っている間幸せだった。なぜなら、彼は自分とどこか似ていたからだ。どこか物憂げで何にも興味を抱いていないようでいて、しかし、自分と似た感性をもっている。実は告白される以前から、そう思っていた。そして彼の事を気にかけていたのだ。

　A子は、しかし彼の本当の気持ちがわからないでいた。自分は確かに彼を愛している。初めはたしかに哀れみのようなものだった。なぜなら彼は器量よしとはいえない。すべてにおいて普通のスペックだ。だが、彼女は、彼が自分を愛しているとしって、自分と同じだといしってこれまで他人に一切感じていなかった愛情を感じるようになったのだ。

　それがうれしかったのだが、しかし、あるときC男をみつけてそのことを聞いてみようとした。

「ねえ、ちょっといい？」

　C男は彼の友人グループの一人であり、最も彼と親しい。だから彼にうちあけた。

彼が分かれたそうに遠くを見る事があること、彼が、本当に自分を愛しているかわからない時があること。

　C男は答えた。

「それもそうだろう、彼は自分にはふさわしくないと思っているんだ、きっと嘘をついて別れたがるはずだ、自分とは釣り合わないと思っているんだよ、だって、君は学校一の美人と噂じゃないか」

　A子はうれしくなって、それからBを一層愛するようになった、けれどそれから半年とたたずにB男から別れ話を告げられた。それも、喧嘩の最中だったのでA子もかっとなったのだ。けれど別れを惜しむ取れ入った。

「本気じゃなかったんだ、君には、Cと友人グループに進められて告白したけど、俺はほら、口下手だからさ、行動にうつして冗談をやるのがほとんどだ、君もしっているだろう？だからさ、君の回答は"僕を振る"ことなんだ」

　A子はかっとして彼をぶった。その時分に絶望して、その場から離れた。そうして彼らの恋愛はおわった。

　その以前、Ｃ男とＢ男とはあるとき放課後に集まり、Ｂ男がＣ男に相談していた。

「どうやってふるか考えてるんだ、傷つけずにさ」

　C男はもったいないと怒った。C男にも罪悪感がないわけではなかった。実はC男とA男の所属する仲良しグループの遊びの罰ゲームで、B男はA子に告白したのだ。

A男はいった。

「そのことをできるだけ、ごまかしたい、本気じゃないなんて、かわいそうだからさ」

　Cは考えた。

「まあ、俺たちも罰ゲームがこんな結果になると思ってなかったよ、あの鉄壁の美女が、お前にＯＫするなんて、そうだな、俺が彼女になんとかいってみるよ、お前が本当にA子の事を愛しているって事を」

「頼むよ」

　B男は、窓の外をみていた。B男はいまだに、人を愛せずにいた。