始まりの星海

明和里苳(Mehr Licht)

すべてのはじまり

 目を開けると、一面の星空。あれ、僕、プラネタリウムに来ていたっけ?こんなところでいつの間に眠っていたのだろうか。しかし、いや、もう僕は———


『スキル・物質創造を獲得しました』


 その時、僕の頭の中で、無機質な声がした。物質創造?


『物質創造・周囲のマナを物質に変換することができる』


 僕の疑問に合わせて、また声がする。僕は思わず、自分の指先を見た。正確には、指先と思われる辺り。そこはほのかに光を放ち、虚空からさらさらと砂を吐き出した。




 僕が覚えているのは、眩しい光に大きな音、そしてどこかに叩きつけられる衝撃。冷たく暗い部屋に横たわる自分の姿を見て、ああ、やっと終わったと思った。僕には嘆いてくれる人もいない。いつも夜空を眺め、時折プラネタリウムに通っては、ただずっと、「帰りたい」と思っていた。どこへともなく。


 だからこうして虚空の中で、大好きな星々に囲まれて。ここはとても静かで、穏やかな世界。もう何にも脅かされることはない。さらさら、さらさらと砂粒が指先から生み出されるのを、僕は満ち足りた気持ちで、うっとりと見つめていた。




 やがて砂粒は大地となり、水が生まれ大気が生まれ、生命が生まれ。僕が創造神と呼ばれたり、精霊王と呼ばれたり、開闢の祖と呼ばれるようになるのは、ずっとずっと先、気の遠くなるような未来のお話。

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始まりの星海 明和里苳(Mehr Licht) @dunsinane

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