◇ある日、雪白の美少女に転生した件

https://kakuyomu.jp/users/animaarca777/news/16818023212020072545

 

 

 

 気付いたら見知らぬ天井……古い遺跡のような場所に俺はいた。


「……どこ、ここ?」


 少し頭がボーッとして、しばらく茫然としていた。俺はどうやら若いお姉さんに抱きつかれているようだ。俺の身体に豊満で柔らかい素敵なものが当たっていた。


「……あ、あれ? 何だ? この状況……」


 お姉さんはギューッと強く抱き締めてきた。凄くありがたい状況だったが、気絶から目覚めたばかりで身体が疲れているのか、少し痛かった。


「ちょ、ちょっと痛い……かも」


(あれ? ……なんか声がおかしい……)


「あ、ごめん!」


 そのお姉さんはバッと少し離れた。


(うぉっ、なんてかわいいお姉さんなんだ!)


 俺は顔を見て「痛い」と言った事を瞬時に後悔した。めちゃくちゃ綺麗なお姉さんじゃないか! 人種はわからなかったが、とにかく俺の好みのドストライクのめちゃくちゃかわいいお姉さんが目の前にいるじゃあないか!


(外国人? いや、ハーフか?)


 茶色みが強めの金髪で、パッチリ二重で優し気な目に、綺麗な鼻筋、痩せているがシャープ過ぎず、少しふっくらした柔らかさを感じる輪郭で、ぽってりした薄いピンクの唇もかわいい。東欧系にいそうな雰囲気だと感じた。


(何だこの状況? 夢? それとも新しいVR? 俺、そんなの体験してたっけ?)


 そう言えば、聴いた事がない言語を喋っているのに、何故か理解できていた。自分から無意識的に発する言葉も外国語っぽい。何故か言葉が通じた。自分が話したい事が、初めての言語でスラスラと喋れているようだ。自動翻訳機能付きのVRなのだろうか?


 VRゴーグルを装着していないか頭部を確認したが、何も装着していない。頭をガシガシ触る様子をお姉さんは心配そうに見ていた。


 俺は心の中で「こんな事があり得るのか?」と戸惑った。


 はたから見たら、割と短時間で色々と考え過ぎていたようだ。お姉さんは両手で軽く肩を揺すってきて、心配そうに見てきた。


「ほんと、大丈夫⁉ 痛い所はない⁉」


「……痛い所……ちょっと全身筋肉痛みたいな感じはあります……」


「き、筋肉痛で済んだの?」


「……は、はい」


(あれ? やっぱ声がおかしいな)


 俺は身体の痛みより精神的な戸惑いが大きく、状況把握ができない。理解に苦しむ。


 それよりこの女性は誰なんだろう?


 彼女は俺の事を知ってるようだし、名前を聞くのは失礼だろうか?


 さっさと聞けば良いのに、変に遠慮して中々聞き出せなかった。


 ちょっと肩を回すように動かしたり、頬を触ったりしてみた。それで自分の身体の異変に気付いた。ほっぺの柔らかさが違う。妙に柔らかい。


 何か身体が小さいし、肌もやけに白いし、女性物っぽい服を着ているじゃないか。


「あれ? ……なんかある……えっ⁉」


 若干の胸の膨らみに気付き、触る。柔らかい。


(ちょっと待て待て……なんかの人体実験か? 俺の知らぬ間に性転換手術された⁉)


 太腿とお尻を触る。柔らかい。恐る恐る股間に手を伸ばす。


(ない! ここにあるべきものが……、な、『無い』!)


「あっ」


 俺は少しビクッとしてしまった。変な所を触ってしまったようだ。


「ちょっと……頭打ったのかも知れないけど、いきなり何してるの? 大丈夫?」


 お姉さんが不審がって見てきた。


(ヤバ! 何て恥ずかしい事を人前でしてしまったんだ俺は⁉)


「あ、ごめん……。おしっこしたいのかな?」


 お姉さんは真顔になり、母親が子供に聞くように言った。


「あ……え……と、大丈夫です! あははは……」


「それなら良いけど……」


 お姉さんは訝しげな顔で見てきた。


(い、いや、何も大丈夫じゃないぞ……俺はれっきとした男だ……アレが無くなったら困る! どうしたらいいどうしたらいい……)


 ここで考えても答えが導き出せるわけがなかった。


「大丈夫? レイリア?」


(レ、レイリア⁉ だ、誰~~⁉)


 俺はそう呼ばれた事に驚きを隠せなかった。


「えっと……、レイリアって、もしかして、俺の事? ……ですか?」


(お、女の名前……だよな?)


 お姉さんは目を丸くした。いや、目がグルグルしてた。


「え? え? レイリア?」


 お姉さんは俺の頭を触ったり肩を触ったり、少し慌てたように俺の事を見回した。


「い、いやっ。レ、レイリア? ま、まさか……、記憶喪失? それに『俺』って⁉」


(え、そうなのか? 俺は武見たけみ和親かずちか……だよな……え? もしかして、これって……まさかの……て、てん……てん……)


 俺は何かを言いかけて、口をパクパクさせた。


「あ、そうだ! あ、あの! 鏡! 鏡、持ってますか?」


「あ~、鏡? 入れたかな……あ、あった。はい」


 お姉さんは美しい装飾と宝石の付いた、とても綺麗な金色の鏡を渡してくれた。


 俺は心の中で「高そうな鏡だな~」と思いながら覗き込んだ。


 そこで、信じられないものを見てしまった。


(……は? ……誰だ? この美少女は……?)


 頬っぺたをつねる。痛い……。


(え? 俺……? この子……が? めっちゃ綺麗な目だな~。カラコン?)


 近付いて見てみる。カラコンじゃないようだ。まるで宝石のように美しく蒼碧あおみどり色に輝く瞳。雪のように純白に輝く髪で、内側は蒼みがかっている。そして透き通るように薄く白い肌の猫顔の美少女だ。


(髪の毛、真っ白じゃん……確かに最近そういう子もSNSでは見かけるけど……)


 俺は色んな角度で顔を見回してみた。髪の毛を動かすと、ダイヤモンドみたいにキラキラして、反射した時に少し色味が違って見える。こんな綺麗な純白の髪は見た事がなかった。お姉さんはその様子を心配そうに見ている。


(おいおいおいおい……ちょっと美少女過ぎないか?)


 ちょっと前に話題になったAI美少女みたいな美しさだ。何故か、今の自分の顔を見て顔が紅くなった。よく見ると、耳が少し尖がっている。俺は自分の耳を引っ張ってみた。


「ん? え? 何これ……ねぇ、何で尖ってるの?」


「⁉……自分の事も忘れてる……?」


 お姉さんは物凄く驚いた顔をして、かなり動揺したようだ。

 

 

 

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