義理の姉が配信者だった件

染谷 式部

第1話姉ちゃん?

俺はさえない高校一年生の男だ。

名前は藤井 爽。そして、俺には姉がいる。しかも、義理の。

しかし、想像していたものとは全くの別物で、だらしない、汚い、性格が悪いとか、挙げればきりがない。

そして、今日は休日。スマホである配信者を見るのが趣味だ。

「やっぱ面白いな。この人」

その名前は『おパンティー』という男配信者、いやvtuberというやつだ。

たまに挟んでくる下ネタが笑いを誘ってくる。

そこに、下から親の声が聞こえてくる。

「ちょっと爽。お姉ちゃん部屋から出してあげて」

「はーい」

怒りを込めて返事をする。

スマホ片手に持ちながら姉の部屋に向かう。

姉の部屋は俺の部屋の隣にある。

コンコンとノックをしようとするが、何か聞こえてくる。

「おっけー、一枚やった。こいつのプレイマジうんこだなwwwwwww」

ん? 異変を感じた俺はスマホを見る。

『おっけー、一枚やった。こいつのプレイマジうんこだなwwwwwww』

ん? あれ? 

もう一度ドアに耳を当てる。

「スパチャありがと! なになに~お前のプレイの方がうんこだって!? 戦ったこともないくせによく言うよ」

はいはい。次はスマホに耳を当てる。

『スパチャありがと! なになに~お前のプレイの方がうんこだって!? 戦ったこともないくせによく言うよ』

ほうほう、同じだ。遅延はあるし声も違うけど、同じだ。

(これは、もう突しかない!)

ドンと音とともにドアを開ける。

「姉ちゃーん! お母さんが呼んでるよーー」

ガタガタと体を震わせてこちらを見てくる。

マイクの電源を切った瞬間...

「おま、何しとんねん。こらっ!」

と頭をたたかれる。

「ごめんて」

「ノックしろって何回も言っとるだろ」

「いや、確かめたいことあって...」

そして、姉に恐る恐るスマホの画面を見せる。

「あ」

と間抜けな声を出す姉。

「お、おお、お母さんには言ってないよね?」

「う、うん」

非常に焦っていた。

「なんでそんなに焦ってるの?」

「いや、さすがにこんな下ネタ言ってるって思われるのは嫌でしょ」

まぁそれもそうか。

「このことは、絶対に外に漏らさないでね。絶対だから」

威圧を込められる。

「わかった、わかった」

そこで、勢いよく部屋から追い出される。

「ちょっとー、お姉ちゃんまだー? 爽」

「無理だった」

「もー」

下から声が聞こえてくる。

頬を膨らませているのが想像できる。母はそういう人だ。

また今度部屋行こ。

そう思いながら自室へ戻る。

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