第一章 触らなくても馬鹿は祟る

 状況を整理するために何故現在の状況に至ったのかを整理してみよう。

 確かこの大学に入ることを決めたのは高校三年生の時だったと思う。

 語り手を当時の僕に変えて、なにがあったのかを把握しようではないか。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 唐突に僕のサイドエフェクトが自己紹介をするよう求めた。なんでいきなり脳内で自分について語らなきゃいけないんだ。それに、言ってみたけど僕にサイドエフェクトなんてない。

 まあいいや。とりあえず外見の話からするよ。

 見た目の特徴とすれば…「狩りが得意そうな顔」って言われたことがあるな。それって誉め言葉なのかな?

 身長は四捨五入すると170㎝の大台を突破している。あの第六天魔王、織田信長と同じくらいの身長だよ。決して低くはないと思う。

 ちなみに、僕の勘が言っているんだけど、近いうちにダサい髪型になっている気がして怖いんだ。杞憂だといいけど。

 今は天然パーマを遊ばせているだけだよ。寝ぐせさえ直せばいい感じのスタイルになるし、手間がかからなくて気に入ってるんだ。

 校則によって染めることが禁止されているから、大学に入ったらメッシュでも入れようかなぁ。赤系統が格好いいと思う。

 性格に関しては、何故か分からないけど将来、特に大学に入る直前に長々と自分語りをしている気がするから、ここでは割愛しておくよ。


 さて、自己紹介もここまでにしよう。

 実は先生に呼ばれているから、急がなくちゃいけないんだ。要件は聞いていないけど、恐らくは進路希望調査についてだろうね。

 どこの高校でもそうなんだろうけど、学生は皆将来について考えなければいけないみたいだね。働く人は職場先を、進学する人は進学先の希望を先生に伝えなければならない、と友達が言っていた。


 確か調査票をもらったとき、僕は「僕でも面接一本で受かる学費が安いとこ」とだけ書いて提出したんだっけ。たぶんそれについて文句があるようだね。

 まあ、流石の僕でもこれはよくないとは思った。中学の時に同じことをして怒られたからね。

 ありがたいことに、その時の先生は僕のために色々調べてくれたみたいで、その結果僕はこの高校に入った。持つべきは良き指導者だね。


 その手は今の担任に通用しないと思ったから、今回は叱られる前に面倒ながらも調べることにした。なので、その成果をみせてさっさと説教から解放されようと思う。


 英語研究室に入ると、そこには偽りの笑顔を浮かべている担任がいた。


「山田君、進路希望についてなんだけど…」「先生、これをみてください」


 説教に入る前に僕は割り込んだ。

 見せたのは、印刷した希望進学先のパンフレットだ。


「これは、歪雛卍わいすまん大学…?」


 そう、私立歪雛卍大学しりつわいすまんだいがく…学費の安い大学を色々調べたんだけど、ここだけ頭一つ抜けて僕にとって魅力的だった。

 最近できたばかりの大学の様で、僕の代は3期生になるみたい。

 数年前に建設が終わった新たな人工島・幻の東京24区ってところに建立されているようだ。

 特筆すべきなのは、その独自性にある。学部は歪雛卍学部しかなく、その詳細は「宇宙の・人類の謎を解く」としか書いていなかった。

 明らかに怪しいけど、その分生徒への福祉が凄まじい。

 大学独自の応募条件なしの返還不要な奨学金が実装されているし、無料の寮やその他設備まである。実質的には、私立なのに普通の国立大学より安い。

 なにより凄まじいのは、なんとここは面接試験のみでの選抜を行っているのだ!受けない理由がない!


「や、やめたほうがいいと思うんだけど…」


 なぜか先生は有頂天になっている僕を止めた。

 なんでだろう?ここまでの説明に不備があったとは思えない。

 素晴らしい大学じゃないか。それに、無謀な挑戦というわけでもない。面接は苦手じゃないしね。


「正気なの?この大学はまだ新しくて情報が少ないし、卒業生もまだいないから就職にどう影響するか分からないのよ。それに、」「いえ、先生。ここがいいんです」


 僕はこれ以上否定される前に、自分の真剣さをアピールすることにした。

 眉間にしわを寄せ、声を普段より低く出す。これでシリアス感の演出は完璧だ。


「先生、僕にはここしかないんです。やっと分かったんです。宇宙の神秘、人間の心理…これらを解明することこそが、僕がこの世に生み出され、与えられた使命だということに!この大学なら成し遂げられる気がするんです!だから…協力しては頂けないでしょうか?」


 よし、口から出まかせにもほどがあるが、情熱の強さは分かってもらえたと思う。

 先生もこころなしか不安そうにしていた顔を崩しているし。


「本当にいいのね?ここで」


 強く頷き、意思の固さを表明した。


「でしたら担任として山田君の面接に協力します。これから頑張りましょう。あなたもオープンキャンパスに行ったり、必要書類を確認したりしなさいね」


「はい!」


 こうして僕の受験が始まった。


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 …ここまでが回想だ。なるほど。高校の頃の僕は考えなしに受験していたという訳か。


 格好つけて「こうして僕の受験が始まった」とか言っていたけど、結局僕はオープンキャンパスには行かなかったし、提出書類も適当に書いたし、特に頑張ったことはないんだけどね。

 結局僕は歪雛卍大学に合格できたんだし、結果オーライだよね。よっぽど試験官が僕を気に入ってくれたのだろう。


 とにかく、僕はパンフレットの表紙以上の情報を持たずに入学することになったんだ。

 面接のときにやっと建物とかを確認できたしね。

 それで分かったことは一つ、なんか面白そう!ってことくらいだ。


 うん。なにも分からなかったことしかわかることができなかった。

 とはいえ、レーザービームを生徒に向けて放つ大学って聞いたことがない。こんなことが書いてあるなら絶対受けなかったし、大学もわざわざ「レーザービーム撃つよ~」という誘い文句を出すわけがない。


 よし、さっきまで起こっていたことは、この大学とは無関係だな。きっと、これは新入生を脅かそうとする先輩たちの悪ノリなのだろう。だって、僕はUFOは18年間ずっと探し続けても見つからなかったんだ。こうドーンと出てくるわけがないことは一番よくわかっているつもりだ。

 

 完璧な考察だ。そうと決まればさっさと講堂へ行こう。楽しいことは好きだけど、正直リアリティーに欠ける分萎えちゃったしね。さ、行こう行こう。


「クックックッ…皆は騙せても、私の目は誤魔化せないな…“真実”が暴かれる日も近い…」


 突然、どこからともかく声が発された。ドスの効いたその鋭い声は、まるですべてを見通したかのように冷静だ。 声の主を探ると、そこには黒のロングコートを羽織る一人の男がいた。

 今日は軽装でいいはずなんだけどな。ひょっとして、一人だけフォーマルな格好をしていて恥ずかしいから入れないのかな?

 可哀想だから声をかけるか。


「ねぇ君、キミも新入生?良かったら一緒に講堂に行かない?」


 男は虚を突かれたのか後ずさったものの、僕に答えた。


「貴様…この惨状をみて何も思わないのか?」


 答えになってないなこれ。

 惨状って言われても…冷静に考えたら地面を破壊できる威力のあるレーザービームって存在しないはずだし、新入生歓迎の一環であるドッキリかなにかでしょ。

 それよりも、早く講堂に行こうよ。


「何もわかっていないのだな。あれを見ろ」


 指さす方向を見ると、そこには破壊された階段があった。

 困ったなぁ…講堂はこの階段を昇った先だというのに…


「何者かが我々の歩みを止めようと企んでいるんだ。しかし、“奴ら”は失敗した。始末の対象である我々を倒し損ねているのだからな…勝利の舞を踊っている間に、逆襲の時刻が刻一刻と近づいていることを“奴ら”は知らないのだろう…クックックッ」


 企み?奴ら?そういえばさっき、真実がどうとか言っていたな。

 …もしかして、やっぱりこれってマジな奴?僕が知らない所でとんでもないことが起こってるの?


「ああ。恐らく、大勢はこの惨状を“連中”の仕業だと思っているのだろうが、私はそう思わない。陰にはさらなる闇が潜んでいる。私はそれに気づいている、というわけだ」


 また知らない単語が出てきた。とにかく裏に何かいるのは分かった。

 よく分からないけど、お前は分かるんだろ、その真実ってやつを。目的はなんだ?というか連中ってなんだ?


「ふっ…知りたいか、真実を…」


 男の声はより迫力の増した低い声になった。

 僕の真意を解いてるのかな?頷き、返答した。

 男は勿体ぶるようにして一歩、二歩前を歩き、一度鼻を鳴らした。

 深呼吸をし、一旦目を閉じた後に、キリっと目を見開き、一言。


「私にも分からん」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 とんだ時間の無駄遣いだった。

 僕が去ろうとした時もロングコートの男は難しいことをつらつらと語っていたが、要約すると連絡先を交換したいらしい。

 正直嫌だったけど、僕は心優しいのでィンスタのサブアカウントで相互フォローになっておいた。頃合いを見てフォローを解除しよっと。


 例の階段に着いたんだけど、幸いにも破壊されつつも頑張れば登れそうではあった。小規模なロッククライミングを堪能したのち、僕は無事に講堂に辿り着いた。

 残念ながら壇上の人が既に喋っていたけど、遅刻しなかっただけマシでしょ。扉に手をかけると、話している内容が聞こえた。


「えー、私が話し始めるまでに、72名の生徒が死亡しました。初日ですので、注意喚起として我々の脅威を知らせるためにビームを出しました。皆さんも立場を弁える様に」


 謎の着ぐるみを着たおっさんはとんでもないことを言った。え、遅刻って死罪なの?

 僕は恐る恐る講堂に足を踏み入れた。まあ、僕は無事だったしセーフでしょ。


「大学に入ったからには、皆さんももう大人です。自分のことは自分で管理できるように。昨日ポータル内で時間の変更を伝えたにも拘わらず、それに対応できなかった死亡した生徒たちは反省するように」


 死んだら反省もクソもないだろ。まあいいや。無事に席についたし、寝よっと。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「おい、起きなんし!いつまで寝てはるでありんすか!」


 謎の言葉遣いをする男に起こされた。

 横を見ると、そこには…ジーンズを履き、何故か上半身は地肌に法被という独特なファッションをした大男がいた。


「私は貴様の教授となるものだ。今から小テストを始める。先ほど説明されたことを、要約して口頭で説明しろ。さもなくば退学だ」


 僕は適当なことを口走ってみた。すると大男は動揺し、僕が聞き逃したことをペラペラと喋ってくれた。ありがたいけど、彼が今後詐欺に合わないか心配だ。


 説明によると、この歪雛卍大学は秘密裡に襲来してきた宇宙人と共同で建てられた大学で、宇宙人側は我々を実験、観察することによって人間を研究し、人間側は生徒に宇宙共通語であったり、新惑星についての色々について学んだりしてほしいのだという。


 …うん。御託しか並べられていない。なにをどう要約したらこう説明できるんだ。

 しかし、大男はあくまでも真面目な顔をしてこれを話すので、本当の可能性が少しあるのが怖い。

 演技派という線もあるけど、こんな脳筋を擬人化したような男にそんな器用なことができるとは思わないな。


「うむ。よくできた要約だ。ちなみに先ほどの話は嘘だ。説明サンキュー!」


 そう言って僕は立ち去った。これから施設案内だからついていかなきゃ。

 しかし、大男は僕を呼び止める。


「うおおおい!待ちなんし!よくも騙しおったな!」


 流石に怒っていた。あんな適当な冗談を信じる自分も責められる対象だと思うけど。


「騙してごめんな。僕は山田。よろしく」


 こういうときは話題の転換が一番。僕は手を差し出し、握手をする意思を見せて全てを誤魔化した。

 そうしたら大男も自己紹介を始めた。


「ん…ようざんす。あちきはマキシミリアン・グロスや。ドイツ育ちで、去年まで日本語学校で勉強して晴れてここに入学したでありんす」


 なるほど、留学生か。道理で日本人離れしている風貌をしているわけだ。そんなことよりも、さっきから思ってたんだけどどこの方言だそれ?


「この喋り方でありんすか?あちきの先生は京都の人やったからなぁ。先生を真似て覚えたから方便も移ったのかもしれんでありんすなぁ」


 なんだ詭弁か。先生、京都弁と廓言葉混在してますよ。


「まあいいや。早く行こうぜ、マキシ…長いな」


「マキシでええで」


「いや、“ミリ”で」


「なんでや!まあええけど…」


 本人には言わないけど、ただでさえデカいマクシミリアンに『MAX』の入るあだ名で呼ぶのが途轍もなく嫌だ。


 僕は別に自分の身長を他人と比べて一喜一憂する人間ではない。それでも、なんか負けた気がするのが腹立つ。

 というわけでこいつのあだ名は「ミリ」だ。これで僕の敗北はなくなる。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 …やっと施設案内が終わった。

 3時間くらい歩いたのかな?最初の1時間こそ、新しい施設を見るたびに一喜してたんだけど、後半は飽きて扉を見るだけで憂が溢れた。

 というか、説明もほとんど聞き流していた。隣のミリがメモっていたので、なにかあったら彼に頼ることとしよう。


「山田、なかなかおもろい機能がぎょうさんでざんすね」


 機能?施設はサイバー感あって面白そうだけど、機能ってなんのこと?


「主、ほとんど聞いとらんかったでありんす?」


 うん。僕の耳はノイズキャンセリング機能がついているんだけど、生憎説明事にのみフィルターをかけてしまうみたいなんだよね。


「えげつないなぁ…でも、これを見たら山田も興味沸くと思うでありんすよ!」


 そう言って、ミリは近くの教室に入り、どことなく怪しい雰囲気のするスイッチに手をかけた。

 いや絶対危ないよね、それ。

 朝のビームで分かったんだけど、宇宙人云々は置いておいて、この大学の科学技術はたぶんすごい。色々吹き飛ばしたのは事実な訳だしね。

 だから、ちょっとは警戒したほうがいいと…ぽちっ「すまん、なんやて?」「…なんでもない」

 まあいっか。気持ちはわかる。

 正直、僕も悩んだ末に押していただろうしね。

 好奇心は我慢するとあとからの後悔がすごいんだ。それを知って以来、僕はなにがあっても好奇心を優先してきた。失敗も多いけど、それはそれで面白いからセーフ。


 数秒すると、体にフワッとした感覚を感じた。体が軽くなった気分だ。

 横を見ると、ミリが床から少し浮いていた。そして僕は気づいた。今のボタン、部屋を無重力状態にする効果があるんだ!


「うおおおおおお!なんじゃこりゃあ!?」


 驚いたミリは直ぐに順応して、泳ぐようにして無重力空間を存分に楽しんでいる。

 僕も負けられないな。

 そう思い、一旦着地して、反動をつけるために壁に足をつけ、膝を曲げた。

 そして、一気に力を放ち、ミリに向かって突撃した!

 これぞロケットパンチ!真の等速直線運動を刮目しろ!


「ごはぁ!」


 モロに突撃を喰らったミリはスタントマンのごとく大げさに吹き飛んだ。

 無重力だからダメージはないだろう…たぶん!


「やりやがったなぁ!くらえ!」

 

 こうして僕たちは無重力バトルを展開した。


 束の間の戦いも終わり、僕たちは各々楽しむことにした。僕は胡坐をかいてプカプカ漂いながら物思いに耽っていた。

 しかし、これは果たして現実なのかなぁ?大学にこんな施設があるとは思わないし、朝のビームもやっぱり非現実的だし…長い夢を見てるかもしれないな…


 まぁ夢だとするなら、それはそれでもっと堪能しないとね!


 ピピピピピピ!!!


 なんか鳴ってるなぁ…無視しよ。


 ピピピピピピピピ!!! 


 ごしゃあ!


 何故か二度目の警告音の後、僕は体が重くなったと感じた。それと同時に、頭に強烈な衝撃を感じた。


 時間切れと言った所だろう。不幸なことに僕は真っ逆さまの状態であったので、最悪の体制での落下となった。

 痛…すぎることはないわ。僕の痛み耐性すごいな。

 でも、これで一つ分かったことがある。


 痛いってことは、これ現実じゃん…


 無重力室を後にした僕たちは、さらなるおもしろギミックを探すために学内中をうろついていた。

 ミリが聴いていた説明によると、「押すな!」と書かれたスイッチが怪しいとのことなので、僕たちはそういったスイッチを見つけるたびにポチっと押していた。

 インパクトこそ無重力室より薄れるけど、声質を変えるものや光を反転させるもの、さらには部屋中のものすべてをふにゃふにゃにするものなど、笑いを生むスイッチが多くあった。

 面白かったから週1くらいの頻度で通おうかな。


 今後の楽しみを取っておくためにも、今日のところはこれくらいに勘弁しようと思い、僕たちは出口に向かっていた。

 その際、歩きながらストレッチしていた僕は天井にスイッチがあることに気づいた。


「お、こんなとこに一個あるじゃん!〆はお前に決定だな!」


「あ、待ちなんし!これだけは触るなと先生が!」


 知るか!さっき僕は無視されたから、今度はこっちの番だ!僕はミリを踏み台にし、スイッチを押した!ポチっとな!


「ああああああああ!」


 ふっふっふっ…残念だったな。危険を臭わせといて、自分で押そうとしたんだろ?残念ながら僕はその手に乗らないよ。


 グゴゴゴゴゴゴゴ…


 …なんかすごい音するな…今日はこのパターンが多いな。ま、後ろを見たところで…

 僕たちの背後から壁が追ってきている。

 あれ、これ危なくね?


「逃げるでありんすよ!」


 ミリは僕の手を引き走り始めた。

 僕も自らの足で走る。

 これ壁同士で圧縮される奴じゃね?


「なぁにさらしとんじゃあああ!」


「いやぁ、なんかごめん」


「主はなんで焦らんのじゃ!」


「ん~…やっぱりイマイチ現実感がないんだよなぁ」


「起きなんし!これは現実じゃ!」


 そうこうやり取りしているうちに、限界地点へと到達しそうになった。

 背後に壁、前方には空いた窓がある。ここは3階なので詰みだ。しかし、やるしかない!


「よし、飛ぶぞぉぉぉぉぉ!」


「はぁぁぁぁぁぁ!?」


 こうして僕たちは鳥になった。もっとも、鶏だから飛べてないんだけど。

 すぐに墜落したけど、奇跡的に目の前に生えていた木にしがみつけて助かった。

 ミリの身体能力が低かったら彼は落下死してたかもね。高くてよかった。


「いやぁ…楽しかったな!」


「どこがじゃ!」


 驚くことに、ここまでの出来事は初日の午前中に起こったことだ。

 僕は今後の大学生活に向けての期待による、高鳴る鼓動を抑えることが出来なかった。

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