第34話 お誕生日パーティ
「雫、お誕生日おめでとう」
「おめでとう、雫」
「ありがとうね皆」
今は雫のお誕生日会をやっている。
「はい、誕生日プレゼント」
星奏は雫に誕生日プレゼントとして雫より大きいクマのぬいぐるみを渡す。
「星奏、ありがとう」
「誕生日プレゼントって気持ちがこもってればなんでもいいんだよな」
「なんだ竜、渡すのが恥ずかしいのか?可愛いやつだな」
「そうだよなんでもいいんだよ、気持ちがこもっていれば」
そうだよな。なんでもいいよな。
「じゃあ肩たたき券でも…」
「私はあんたのお母さんじゃないんだよ。なんでもいいとは言ったけど○○券シリーズは基本、友達に渡すものじゃないよ。渡すならなんでも券を渡してよ」
雫がすごくひいてる。
せっかく昨日、夜なべして作ったのに。
「まぁそれはそれとしてこっちが本命」
そう言って俺は綿と生地と裁縫セットを渡す。
「これでぬいぐるみでも作れよ」
「まだ肩たたき券の方がマシだよ。なんで私が作らないといけないんだよ」
「竜、お前…もしかして誰かに誕生日プレゼントとかを渡した事がないのか?」
失敬な。俺だって…あいつには…渡した事…ないし。
…渡した事ないわ。
「じゃあ誕生日ケーキでも」
「それはもう買ってあるでしょ」
誕生日プレゼントって難しいな。
「星奏、今からリサイクルショップに誕生日プレゼントを買いに行くから一緒に来て選ぶのを手伝ってくれ」
「仕方ないか。雫、ちょっとまっててくれ。すぐに戻る」
「分かった。私は誕生日ケーキを1ホール丸ごと食べておくよ」
雫、お前ってどんなお腹をしているんだ?
「星奏、誕生日プレゼントってどういうのがいいんだ?」
「とりあえず、こうゆう場所でプレゼントを買って渡すなら雫には実用的な物がいいな。手作りは時間がない、それに…」
「俺、別に何かを作るのって得意じゃないんだよね」
「そういう事だ」
なるほど、実用的なものか。
「身長とかもろもろ大きくなる薬とかかな」
「殺されると思うぞ」
あいつにとってこれ以上の実用的な物なんてないだろ。
「…包丁の研石とか?」
「そういうのでいいんだよ。なんだできるじゃないか」
俺はリサイクルショップにあった研石を買う。
「良かったな誕生日プレゼントが見つかって」
「ありがとうな」
俺達はリサイクルショップを出て家に帰る。
誕生日プレゼントって難しいな。
「はい、雫。これを使ってくれ」
俺は研石を雫に手渡す。
「竜、ありがとうね。成長したね」
雫が少し涙目になる。
そんなに泣ける物なのか?
「これ、ちょうど欲しかった物だったから本当にありがとう」
喜んで貰えて何よりだ。
「ていうか雫、本当に誕生日ケーキ1ホール丸ごと食べるなよ」
「どうせ明日竜の誕生日ケーキがあるからいいでしょ」
そういえばそうだった。
「「竜、お誕生日おめでとう」」
俺のターンだぜ。
「この誕生日パーティーってもう1回にまとめた方がいいんじゃないか?」
「何を言っているんだ。全員分やるからいいんだろ?」
そういうものなのか?
「じゃあ誕生日プレゼントを…はい、金メッキの王冠」
「私も…はい、サービスエリアに売ってある剣のキーホルダー」
「…昨日の事は丸く収まったと思っていたんだが」
星奏は俺に王冠を被せ雫は王冠に剣のキーホルダーをつける。
「ほら、もっと喜べよ」
なんかその、昨日の事はごめんなさい。
「まぁこれは冗談として。こっちが本命だよ」
雫はそう言ってズイッヂのゲームカセットを渡してくる。
「ゲーム…やろっか」
わーい雫様、ありがとう。
「じゃあ私からは…このソーラーパネルを。
自家発電で太陽が出ていたらテレビ1台位なら電力が賄えるぐらいらしい」
「皆…グスッありがとう。俺、明日の星奏のプレゼントも頑張って選ぶよ」
この後めちゃくちゃゲームした。
「ごめん竜、待った?」
「いや、今来たとこ」
「一緒に出れば良かった話でしょ」
「確かに」
俺達は今、なんでも売ってあるリサイクルショップに星奏のプレゼントを買いに来ている。
星奏の誕生日会は今日の昼だ。
なぜこのタイミングに買いに来たかというと。
「まさか竜が星奏の誕生日プレゼントを一緒に選んで欲しいなんて言うとは思わなかったよ。もう選べるようになったでしょ?」
「なんか星奏のは思いつかなくて」
昨晩寝る時に考えてみたが何も思いつかなかった。
星奏ってなんか色々持ってるから思いつかないんだよな。
「星奏はねとりあえず気持ちのこもってそうな物だったらなんでもいけるよ」
「例えば?」
「例えばね昔だったら星奏の好きなキャラを入れたブックカバーとかをあげてたね。今年は手作りのお菓子をあげるつもり」
なるほど手作りか。
星奏にも言ったけど俺って何かを作るのって得意じゃないんだよね。
「んーじゃあ。あいつ貴族だし頑張って捕まえた奴隷とかは?」
「気持ちのこめ方間違ってると思うよ」
なんでもいいが1番困るんだよな。
雫の時は雫の役に立ちそうな物をと考えていたが星奏はそれが無いんだよな。
「…そういえば星奏、なんかまた本を増やしてたよな?」
「そういえば、暇な時があればこっそりどこかに行って本を持ち帰ってたね」
「…本棚でも買ってやるか」
「そうだね」
意外にも一瞬で決まった。
星奏は結構ガチめな本中毒な気がする。
ためになりそうな本とか色々持ち帰ってるしなんなら前に星奏がいい感じの本屋を見つけたぞ誰にも見つかってないしラッキーと独り言を言ってたのを見た事があったわ。
「星奏、お誕生日おめでとう」
「お誕生日おめでとう、星奏」
「ありがとうな、お前ら」
星奏が照れくさそうにしている。
「はい、手作りのクッキー」
「ありがとう、雫」
雫が星奏にクッキーがのった皿を手渡し星奏はそのクッキーを食べる。
「おいしいなこれ。流石雫シェフ」
「この前の事はちょっと忘れてくれるかな」
雫が顔を真っ赤にしている。
前のセレブごっこの事を思い出して恥ずかしくなっているのだろうか?
「じゃあ俺からはこの本棚をやるよ」
「おぉありがとうな、竜。最近本棚が足らなくなってきていたんだ」
でしょうね。
「なぁやっぱりこのお誕生日会ひとつにまとめた方がいいと思うんだが?雫なんか誕生日ケーキを自分の分まで作っていたんだぜ」
「うぅそれもそうか。確かに3日間もやるのはなんか違うとは思っていたんだが全員分やらないといけないと思ってしまってな」
「でも次からはどうする?真ん中の竜の誕生日にやる?」
それもそれで違うと思うんだよな。
「じゃあ私の誕生日の後とかどうだ?それなら皆もうすぎてるし平等感も出るだろ」
平等感ってなんだよ。でもそれはいい考えだな。
「じゃあそれで次は決まりって事でかんぱーい」
「「かんぱーい」」
そう言って俺達はセレブごっこの時に買ったワイングラスに水を入れ乾杯する。
「3日目にもなるとケーキの味にも飽きてくるね」
「それはお前が初日にケーキを1ホールごと食べたからだろ」
それに味変でもすれば良かったのに。
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