第2話
次の日の朝、私は毛布に包まって目が覚めた。手のひらサイズから人よりちょっと大きいぐらいになった今、いつものベッドにはもう入れない。床は硬かったけど進化して疲れたのか昼まで寝てしまったようだ。
「おなかがすきました…。」
前のようにちょろちょろうごけないが、とことこ歩いてマスターの食べかけポテトチップスを食べる。小さい頃は二枚でお腹いっぱいだったのに今じゃ食べた気がしない。
「テレビでも見ましょうか。」
よくマスターの肩にのって一緒に見てたので操作がわかる。本当はパソコンがいいのだけどパスワードが解らない。後で教えてもらおう。
テレビをつけて、適当に回すとバラエティー番組が映った。まあ見たいものが無い時はこっちでいいかな。そして内容はなんとレベルダウンの話。
「あるんだ、でも何に使うんだろう。」
テレビではリフアカで取れるバナナっぽい、ンディキという物を食べさせるとレベルダウンできるのだとか。しかし一本三百万円。
値段を含めて何に使うんだと思ったら、大きく成長しすぎたグランドドラゴンに食べさせて元のサイズに戻していた。
「このままずっと庭で、マスターと別れて生活すると思っていましたが助かりました。」
そう話すのはグランドドラゴンのグランさんだ。名前安直すぎるなーと思いながらもCMに入ったのでチャンネルを変える。
こんどはドキュメンタリーみたいなのが始まった。なんでも離従問題だそうだ。人間の離婚よりも割合が高く、野良魔になって野生にかえって農作物を荒らしたりと問題になってる話は小さい時にも聞いていた。
「しかし、どうして離従が発生してしまうんですか?」
「それは人間側の人生のステップによる変化もあります。」
専門家が言うには、子供の頃は問題ないけど、結婚したら家族の問題と同時に配偶者の従魔との相性問題も出たりするらしい。特にドラゴンは男性には人気があるが、女性には大きいし怖いし鱗がキモイと散々だとか。
「むう。」
台所から未開封のせんべいを持ってきて封を開けて食べる。しかしひどい言われようだが、それで離従するパターンはよくある事らしい。早速進化したのがちょっと心配になる。
「ですが今は多様性、様々な生き方があります。」
そう言って紹介されたのが人同士で結婚せず、従魔を伴侶とするあり方であった。
「へえー。」
インタビューを受ける従魔に人間相手は気持ち悪くないかという話も出るが、本魔曰く慣れるとの事。そしてその状態での離従割合は低く、人型の従魔が最も別れる割合が低いらしい。
「ふーん。」
「ただいまー。」
おっと、マスターが帰ってきた。
「おかえりなさい。」
「いやー、まいったねぇ。」
返ってきたマスターは変に上機嫌だ。しかも人間の女の匂いがする。
「いやー、ドラゴンが従魔に居るって役所に提出したら、ギルドランク上がっちゃってさあ。お金結構もらえるからか、なんか色々話来ちゃって。」
従魔が強いと毎月国民ギルドから生活費が入るのだ。一応災害等の緊急時に手伝う義務があるのだが、野良魔を増やさない一環もあり結構な額が出るらしい。
その為に女性からモテるとか。なおテレビでは強従魔からモテて結婚、相性問題で離従してお金入らなくて結局離婚で一人になるというのがよくある流れらしい。
「それに役所で女の子から連絡先きかれちゃってさあ!」
一応ドラゴンという変温動物の片鱗も残る上で嫌な汗が出る。
「どうしよっかなあ!」
「ちょっと、お話しが…。」
今日見たテレビの知識を早速使う事となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます