始まり・終わり

@mia

第1話

「皆様、お待たせいたしました。各馬一斉にスタートいたしました。これか」

「何言ってるだ。おまえは。スタートしたのは馬ではないし、一斉にスタートしたわけではない。少しずれがある。ふざけるのも大概にしろよ」

「失礼いたしました。各馬じゃないのが一斉じゃないけどスタートしました。これからお客様が投票したのがどう進むのか、じっくりお楽しみください。なお、今回のレースで全てゴールしてから次回のレースが始まります。次回のレースがスタートするまでは時間がかかりますので、ゆっくりと考えて選んで投票してください」



「前回は大負けしたので、今回は取り戻しますよ。なかなかいいスタートしましたし。次回は三番はどうかな」

「三番は弱そうじゃないですか。千十番の方が強そうじゃありませんか」

「肌の色艶がいいのは五千七百番だと思うぞ」

「そうですね、なかなかいいですね。私は八千十五番だと思いますがね」



「先輩、お客様たちはもう次回のレースに夢中ですよ。今回のレースを見てくださいませんね」

「お前が次のレースを考えろって言ったからだろ」

「人間の寿命はたった百年なんですから、早く選ばせないと次回のレースが始まってしまうではないですか」

「ゆっくり考えろと言ったり早く選ばせないとと言ったり、勝手な奴だな」

「僕達はみんな勝手なんですよ。人間の人生で賭けができるのですから」

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