「カクヨムWeb小説短編賞2023」創作フェス

じょお

スタート

 お題「スタート」……なので、縁起物を絡めてみました。まぁオチはわかると思いますが取り敢えず(笑)

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──「スタート」──


 夢を見た。


「一鷹・二富士・三茄が縁起のいい夢……いやいやいや、もう初夢の日は過ぎてんじゃん……」


 今日は1月9日だ。初夢とはほぼ関係無い……だが、目の前にあるのは巨大な……いや、山にしては小振りだけど……山なのか?


「んーー……山というか……どちらかってぇと、亀の甲羅か?」


 但し、見上げる程に高い……。目測で10メートルって所か?


「頭も足も引っ込んでるけど……生きてるのかいな?」


 まぁ……夢の中だから、生きてようが死んでようが関係無いっちゃ関係無いのだが……


 ぐるぐると周囲を歩き出す。今立っているのは亀? から見て左舷……左の足がある方向だ。取り敢えず、時計回りに回り始めたんだけど……


「頭も引っ込んだままだなぁ……」


 尚も歩き、右舷……右側の前後の足も引っ込んだままなのが確認できた。今は尻尾がある筈の後方に立っているので、全ての足・頭・尻尾すらも甲羅に引き籠り状態なのがわかる。


「……亀って死んだらどうなるんだろ?」


 力無くだらん……となるのはわかる。だが、目前の巨大な甲羅には何も出ていないので生きてるんだか死んでいるんだか不明だ。


「突いてみればわかるかな?」


つんつん……


 暫く待ってみたが変化は無い。


こんこん……


 矢張り、変化は無い。甲羅が大きいからもう少し強く……突くやノックより強くないとダメか?


げしげしっ!


 蹴ってみた。動かざること山の如しとはよくいったもんで……全く動く素振りを見せない。最終手段だ……俺は助走する為に、何メートルか後退し……


「うおおおおっ!」


 徐にダッシュを開始。そして体毎ぶつかる……所謂、ショルダーチャージをぶちかました。


「ぐぅっ!?」


 夢だというのに全速力+全体重を掛けたショルダーチャージは肩に多大な負担を掛け……それは鋭い痛みを伴った!?


「ゆ……め、だというのに……すっげぇ……痛い」


 だが、俺の試行は功を成し……ついに目前の亀を……山を動かすことに成功する!


にゅっ


「おお、首が……いや、頭が出た!」


 そして、亀の頭がこちらを向き、口を開く。


「やかましいのう……オチオチ寝てられない……」


 表情からはわからないが、怒っているようだ……そして今更ながらに気付く。亀が喋っていることに!


「亀が喋った!?」


「仙亀じゃからな……そら人語を解するのも喋るのも当然じゃよ……して、人間よ……何の用事か?」


「へ?……いや、その……目前に亀の甲羅があって、手足を引っ込めてから死んでるのかなぁ?……と」


「確認か?」


「え……えぇ、まぁ……」


「ふむ……なら、もうええじゃろ?」


 言外に生死確認ができたのだから、寝るのを邪魔するなとのたまう亀●人……じゃない、仙亀。


「あ、寝てる所すいません」


「うむ。じゃあな?」


 それだけいうと、またもや手足頭尻尾を引っ込める仙亀。


「……えっと。俺、これからどうしたらいいんだろ?」


 すると、イラっとした仙亀が再び頭を伸ばして……


「やかましい! いいから早よここから居なくなれ!」


 ……と、口から何か液体を噴射する!


「ぐはぁっ!?……痛い痛い……うわぁっ!?……何だこれ、酸っぱっ!?」


ぶしゅぅーーーー…………!


「うわああぁぁ…………」



 そして、気付くと酸っぱい臭いに包まれたスーツを着たままで、亀の置物を抱っこしながら道端で寝ている自分が居た。


「うわぁ……そういや新年会で潰れるまで呑まされたんだっけ……って、何だこのでかい亀の置物はっ!?」


 酢っぱい……亀……新年会……1年のスタートがこんなオチってある?


「酢タートる……って、うわぁ……新年早々スーツをクリーニングに出さねぇと……」


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 皆さん、新年会では程ほどに……トホホぉーー……orz

※全て作者の妄想であり、現実に起こった出来事ではありませぬ(笑)

 1時間くらいで書いた(スタート→酢・タートルが最初に思い付いたネタw)最後のオチは、そこまで書くまでは脳内にありませんでした!

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