Start over

フクロウ

第1話 リスタート

「最後に聞く。本当にリスタートするのか?」


「……もう決めたことです。これ以上ここで何ができるとは思えません」


「わかった。最終確認だ。このユニークスキルは一度しか使えない。人生たった一度きりだ。本当にいいんだな?」


「二言はありません」


「わかった」


 月のない夜闇よりもなお暗い常闇の空間に、世界の外側から侵入するように光が射し込んだ。真っ白な光は次第に暗闇を覆い尽くし、僕は静かに瞼を閉じた。


 光が世界の容量一杯まで満ち満ちていくのを肌で感じたとき、僕は目を開いた。


 人を見下ろすように建ち並ぶ巨大なビル群に、人工的に装われた申し訳程度の緑地。見渡す視界の中に映る面々はいつもと変わらない。


 変わったのは僕だけ。僕はその日、その時間、世界との関係値をゼロにした。

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