教職を務めるアラサー女性・間宮夕希とその周辺を賑やかす人々の日常のひとコマを描いたヒューマン・コメディ。

とにかく文章が洗練されていて読み応えがあります。
その流麗な語り口に操られるようにして、個性豊かな登場人物たちが頭の中で活き活きと言動を繰り広げてくれるのが痛快です。

また、時間の移り変わりとともに人間模様が少しずつ変化していく様がとても丁寧に描かれており、その賜物ともいえる重厚な人間ドラマからはそこはかとないエモさと温もりが感じられます。

基本的にコミカルテイストなストーリーを基調としていながら、時にビターな味わいが含まれていたりして、全体的に大人なエンタメ小説だなという印象です。

章ごとにストーリーが区切られているので、まとまった時間が取れなくても読みやすく、中編〜長編を敬遠しがちな方にもおすすめです。
興味を持たれた方は、ぜひ味わい深い物語の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。