第13話 変わってしまったのは推しのほう

 前回の話で推し変の話をしたが「推しのほうが変わる」もよくある話である。


 最初の頃は礼儀正しかった人が段々と横柄になる。

 はじめた頃はちょっとしたギフトをもらっても喜んでいたのが、スルーしたり、高いギフトにしか反応しなくなる。

 SNSや動画サイトやアプリでのフォロワー数が少ない人は相手にしないとか、冷たい態度になる人もいる。


 もちろん、理由もある。なんでも初めては驚きだけど、慣れてしまうのは人間の必定。それは別に配信者に限らず、ゲームとか恋愛の付き合いたてでも「最初はなんでも面白かった」「最初はなんでも新鮮だった」が変わるのはよくあることだ。


 また、やっている内にいろいろと嫌なことがあり、新アカウントで探り行為に来たり、出禁にした人が初心者を装って来たり、警戒せざる得ないようになっているなどもある。

 ただ、それを差し引いても、やはり尊大になってしまう人もいる。


「そんな人じゃなかったのになぁ」

 そう思っても、わざわざ言わずに、スーッといなくなるほうが多い。


 その結果、自分が変化したことに気づかず、「あの人、最近来なくなったよね」と来なくなった側を責める人がいる。

 そして、そういう態度がイヤで、また人が減り……で『フォロワー数が多いのに人が来ない配信者』が完成したりする。

 

 リスナー側の中では、そういう話をしていたりして「あの人、前はそんなことなかったのに、イベント応援で投げろって、うるさくなったよね」「態度がね……ちょっと行きづらくなったね」といった話をしてるのだが、それが配信側に伝わってなかったりする。


 もちろん「俺が変わったと思って離れるならどうぞ」スタンスさんもいる。

 それはそれで貫ければいいのだが、口ではそう言っていても、それが貫けずに人が減っていくことに「俺の何が気に入らないんだよ」という態度になって、人に粘着したり、人気のある人の悪口を言って、さらに人が離れて、孤独を深める人もいる。


 これはネット小説家でもある。

「俺はテンプレや読者受けなんて意識して書かないぞ」という人が、それならそれで我が道を勝手に行けばいいのに、他の人気のある人に「あいつはただのテンプレ書きだ」「俺のほうが本格的なものを書いてる」とあれこれ言ったり、SNSでの揉め事ばかりに時間をかけてしまったりする。


 揉め事を起こすような人も全部が悪い人なわけではない。

「出会った頃はいい人だった」「あれこれ面倒を見てくれる時もあったんだけど」「個別で連絡すると対応は丁寧」などなど、変わってしまったという人も多いのだ。


 そして「本当にそういう人いるよなー」と共感してくれる人の中にも、実は自分もそうなってしまっている人もいる場合がある。


「このリスナーは(読者は)俺の配信(更新)を見に来て当然」みたいに無自覚になる人も多いのだ。


 いつも来てくれる人は一番ありがたいはずなのに、新規の人ばかり大事にしたり、たまに来る人にだけ「今日は○ちゃん来てくれたから~」おもてなししたり、いつもいてくれる人の気持ちを考えない言動をしてしまう。


 いつもいる人のプレゼントや応援コメントには「あ、いつものね、ありがと」くらいのテンションなのに、初めての人だと急に「わあ、いいの!?」になって、中には「あいつはいつもいて毎回くれるから」と当然のごとく思っていて「なんでくれないの?」とくれないことを責める人もいる。

 

 「もう身内みたいなものだから」というノリの人もいて、そういう扱いを喜ぶ人もいるが、反面、内心で「もう少し大事にしてくれても」となっている人がいるのも気づかないといけない。


 かく言う自分もVライバーの話に興味を持つようになってから、椎名耳かき店も書いてないし、各総理大臣の逸話の本出す書いておいて作ってないし、『明治・大正・昭和の男色』はもうAmazonで☆が31越してて本当にありがとうございますなのに、他の近代史の本を作ってないし、今、Amazonで「井上みなと」で検索したら『椎名耳かき店』の1巻目がもう☆77もいただいてて、すみません8巻作ります。


 本当にずっと見てくれる人、最初の頃から見てくれる人、大事にしましょうね……(自戒)

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