『レーツェレストの錬金術師』『パステルカラー』1人称と3人称

 コリーウ、セイール、ハースト、アルテア、ヘリオライト。

 彼女たちは、なぜか集まっていた。

 魔力を解放したコリーウはパステルピンク、セイールはパステルブルーに、髪と瞳の色が変化している。ハーストは、いつも通りのパステルパープル。アルテアはパステルグリーンで、パステルイエロー(クリーム色)の服まで着ている。ヘリオライトはオレンジの髪に金の瞳。彼は自分だけパステルカラーではないことに、なぜか違和感を覚える。

 そして、「よく考えてみたら、異世界エルヴィスドニーの竜族の友人も、みんな白とパステルカラーの服ばかりだった」と思い出す。ドニーはパステルグリーン。ロニーはパステルブルー。仲良くしてくれた守護者ガーディアンの兄妹は、それぞれパステルパープル、パステルイエローの服を着ていた。


 ドニーにはいつも迷惑をかけていたが、彼はいつも平然としていた。

 ロニーは暇になって遊びに行くと、いつも話し相手になってくれた。

 守護者ガーディアンの兄妹は、毎日のように一緒に会い、ともに敵を排除しに行っていた。


 ハーストたちだって、いつも優しくしてくれていた。

 ハーストは話しかければちゃんと答えてくれたし、自由にさせてくれた。

 アルテアだって、いつも何かを教えると、ちゃんと覚えてお礼を言ってくれた。

 コリーウだって、優しく接してくれていたし、セイールもクールに見えて優しい性格だった。


 みんな優しい──。


 心があたたまった気がした。


「にゃあ」

 ヘリオドールが金色の尻尾を揺らして鳴いた。

 金色に染まった体をいつものように抱き上げ、ぎゅっと抱きしめる。


「にゃあ?」

 今度は不思議そうに鳴いた。

 ヘリオドールは、きっと首を傾げて見ている。

 目を閉じているから見えない。


「ヘリオライト!」


 名前を呼ばれて顔を上げると、そこにはフレッドたちが立っていた。

 ルビーレッドのフレッドに、白のワイトとソフィア、黒のビリア。サファイアブルーのフォーリヒ、銀のオリヴィア、金のセイン、黄色のフラヴィア。最後に、白のカモミール。


 みんなが笑っていてくれる。

 それが、言葉にできないくらい、心があたたかくなる。

 大好きな人たち。


 この人たちを護りたい。

 どのくらい生きられるかなんて、わからないけど……。




 🌈 🌈 🌈




 目を覚ましたヘリオライトは、両腕を伸ばし、背中と腰をぐっと伸ばす。

 暖かな日差しを浴びて、彼は周りを見渡す。

 隣には金色の猫「ヘリオドール」と白い犬「カモミール」がいて、近くには新しい家がある。


 ──ヘリオドールとカモミールと遊んで、疲れて寝たんだっけ?


 そう思い、改めてヘリオドールとカモミールを見る。

 ヘリオドールは丸まって気持ちよさそうに体を上下させて寝ているし、カモミールにいたっては疲れて真横に倒れたまま寝ている。

 ヘリオライトは思わず笑ってしまいそうになるが、口を手で押さえて何とか我慢する。


 ──起こしたら、可哀想だな。


 ものすごく気持ちよさそうに寝る2匹を見て、ヘリオライトは微笑む。


 そのとき、遠くからいい匂いが漂ってきた。


 ──そういえば、おやつの時間か?


 最近は、ハーストが趣味でお菓子作りまで始めていた。

 こちらに来てから自炊することも増えたことと、この前、お土産で作った「いちごミルクの素」をみんなに喜んでもらえたのが、ただ嬉しかったのだ。

 そして、この時間になると、いつもお菓子のいい匂いがするようになった。

 いつもこの時間になると、もうそろそろ……。


「ヘリオライト! ヘリオドール! カモミール!」

「おやつの時間だよ~!」


「わかった! 今、行く!」


 ヘリオライトは2匹を抱え、ハーストとアルテアの元へ走る。


 ──行く先から幸せな甘い香りがした。

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