『レーツェレストの錬金術師』『イベント』3人称
南大陸での生活にようやく慣れてきたハーストたちは今、農地が多い西側に住んでいた。四天王「フレッド」と白騎士「ワイト」と仲良くなり、2人が参加しているイベントに招待されたハーストたちは、同じく2人に呼ばれた4番目の四天王とその補佐の暗黒騎士と一緒に2人の元へ向かっていた。
「一週間ぶりだね? コリーウちゃん」
「うん! アルテアちゃんたちと、また会えて嬉しいな?」
「私も嬉しい!」
ウェーブのかかったパステルグリーンの髪と同色の瞳を持つ少女「アルテア」と、可愛らしい少女「コリーウ」は顔を見合わせ、楽しそうに笑った。4番目の四天王「コリーウ・エインズワース」は、この南大陸全土を統治する国王の娘だ。ふわふわもこもこの白い2つお下げが特徴で、まるで羊のようにも見える。また、澄んだ青い瞳を持ち、純粋で可愛らしい少女のような女性である。さらに、最強の四天王に次ぐ魔力の強さから四天王になった経歴の持ち主で、魔力を解放すると髪と瞳がパステルピンクになる特異体質だ。
「あれ? ピアちゃんは、どうしたの?」
「昨日の事件で疲れて、今はポケットの中で寝てるの」
「そうなの?」
アルテアがコリーウのカーディガンを見ると、確かにポケットが少しだけ膨らんでいた。「ピア」というのは黄色いひよこで、コリーウの契約聖獣だ。ピアは昔に大ケガをし、回復魔法では間に合わず、契約魔法を同時に行い、一命を取りとめた。今では元気になり、いつもはコリーウの肩に乗っている。
「アルテア、お久しぶりです」
「ビリアさんも、お久しぶりです!」
アルテアに声をかけてきたのは、コリーウの補佐ビリアだった。暗黒騎士「ビリア・ペンフォード」。
「先ほど、ハーストたちと挨拶をしてきました」
「ハーストたちと?」
「はい、お土産をどうもありがとうございます」
「どういたしまして!」
アルテアの笑顔に、ビリアが珍しく笑顔を見せていると、3人の前にいた男性がこちらに気づき、近づいてくる。
「ああ、コリーウ様! お久しぶりでございます!」
「お久しぶりです、ナイジェルさん。このたびは、お招きいただき、ありがとうございます」
「お久しぶりです、ナイジェル様。本日は、お招きいただき、ありがとうございます」
ナイジェルという男性は、コリーウの隣にいたビリアを見て、一瞬固まった。
「ええ……と。コリーウ様、そちらのお方は?」
「私の補佐のビリアです!」
「ビリア様……?」
「私は暗黒騎士、『ビリア・ペンフォード』です」
「……えっ? 暗黒騎士様!? てっきりお付きのお方かと思い、申し訳ございません! 私の
ナイジェルが土下座をしそうな勢いで、頭を下げて謝るが、ビリア本人は全く動じていなかった。
「いえ、気にしていません。どうか顔を上げてください」
「ナイジェルさん? ビリアは、とても優しい人ですから、大丈夫ですよ?」
「は……はい。本当に申し訳ございません」
ナイジェルのように、ビリアが暗黒騎士のとき以外の姿を知るものは少ない。知っているのは、城下町と南側の人間くらいだろう。
それよりも、ビクビクするナイジェルを平然とした顔で見るビリアと、本気で彼女のことを「優しい人」と思って見守っているコリーウと、3人の間には異様な空気が広がっていた。
「コリーウ!」
「フレッドくん!」
「こんにちは、コリーウ。それに、ビリア」
「こんにちは、フレッドくん! お招きありがとうございます」
「こんにちは、フレッド様。本日は、お招きいただき、ありがとうございます」
2人は礼儀正しくお辞儀をする。フレッドは首を緩く左右に振ると同時に、キラキラした金の髪が揺れる。
「そんなにかしこまらなくていい。2人は俺の大切な友人だから」
「うん! ありがとう! フレッドくん!」
フレッドは、花が咲くような笑顔を見せたコリーウから、わずかに視線をそらし、頬を赤くする。彼の気持ちを知るわけもなく、コリーウは彼の赤い瞳を覗き込む。
「コリーウ?」
「これは、お土産のいちごミルクプリン! 昨日、ビリアと作ったの。口に合うかわからないけど、良かったら──」
「食べる! コリーウたちが作ったものだから、絶対においしい!」
「ありがとう、フレッドくん」
コリーウはホッとした顔になり、次の瞬間には可愛らしい笑顔を見せた。その顔にフレッドは「ドキッ!」とする。
「コリーウ様、ビリア」
突然、横から声が聞こえ、コリーウとビリアは振り向く。そこには、透き通るような茶色の髪と同じ色の瞳を持つ爽やかな青年、白騎士のワイトが立っていた。
「こんにちは。イベントに来ていただいた上に、お土産までいただきまして、ありがとうございます」
「ワイトも、今日はお招きいただき、ありがとうございます」
「ワイト……。招待、感謝する」
「はい、お二人とも楽しんでいってくださいね?」
「ありがとう!」
コリーウから笑みがこぼれる。その笑顔に、フレッドは不安になり、微かに瞳を揺らす。
「ワイト。コリーウと、もう少し話がしたいんだが……」
「はい、構いませんよ? イベントが始まるまで、もう少し時間がありますから」
「わかった。……コリーウ、もう少しだけ話に付き合ってもらってもいいか?」
「うん!」
2人が話し始め、ワイトは微笑ましく見つめた後、ビリアに向き直る。
「ところで、ビリア。いつもはワイシャツなのに、ブラウスを着ているのは珍しいですね?」
「コリーウ様が、『おしゃれして行こう?』と、おっしゃったので。まあ、私にはこれぐらいの服しかありません。華やかな服は似合わないので」
ビリアは、暗黒オーラをまとった自分が華やかな服を着た姿を想像しようとするが、全然、思い浮かばない。それどころか、想像した服まで黒に染まってしまいそうだった。
「同じくらいの身長ですから、コリーウ様の服を貸してもらうことは」
「できません」
きっぱりとビリアは答えた。
「私がコリーウ様の服を着ることなど、できるはずもない。……コリーウ様の服が
「きゅっ!」と手を握りしめるビリアを見て、ワイトは悲しい気持ちを隠し、優しく微笑む。
「あなたが着ても、コリーウ様の服が
「いえ、できません」
頑なに否定するビリアに優しい言葉をかけるのは逆効果だと判断したワイトは、フレッドの持っているお土産を見た後、彼女に向き直る。
「コリーウ様とお菓子を作ってきてくれたんですね? ありがとうございます」
「コリーウ様が一緒に作りたいとおっしゃったので、フレッド様のために一緒に作ってきただけです」
「……そうですか」
ワイトは、くすくす笑う。どれだけ酷いことを言っても、いつも穏やかに笑って受け流す彼に対し、ビリアは余計に疑心暗鬼になる。
──本当に苦手……。
「ワイトさん!」
突然、声が聞こえ、振り向いた2人の先には、ふさふさの白い子犬と金色の猫を抱っこしたパステルパープルの髪と瞳を持つ青年がいた。
「ハースト君、こんにちは」
「こんにちは! 本日は、お招きいただき、ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ、イベントに来ていただき、ありがとうございます」
2人はお互いに頭を下げる。
「ところで今日は、ソフィアはいないんですか?」
「ああ! ソフィアなら、あちらに……」
「わん!」
白いトイプードルが、ワイトたちの近くにいた男性の腕に抱かれていた。テディベアカットのソフィアは、完全にぬいぐるみにしか見えないくらい可愛い。
「部下のジェイラスに預けているんです」
「どうしたんだ? ソフィア?」
「わん! わん!」
ジェイラスの腕から必死に抜け出そうとしている。その声に応えるかのように、ハーストに抱かれた2匹が動き出す。
「わんっ、わんっ!」
「にゃあ!」
「うあっ!?」
ついに2匹がハーストの腕から逃げ出し、ソフィアの元に急ぐ。
「ジェイラス、ソフィアを離してあげてください」
「は、はい! わかりました!」
ジェイラスがソフィアから手を離すと、2匹の元にすぐに駆け寄っていく。3匹でぐるぐる走る姿を見て、そこにいた4人は、いつの間にか笑っていた。
一方、その少し前、フレッドとコリーウは別の話をしていた。
「今度また、フォーリヒやセイールと一緒にお茶することになっているが、コリーウたちも来ないか?」
「え? いいの?」
「もちろん!」
「……行きたい! ありがとう、フレッドくん! 久しぶりに姉さんに会える!」
コリーウは嬉しそうにフレッドの手を取り、とても喜んでいる。
なお、2人の言う「フォーリヒ」と「セイール」とは、最強の四天王「フォーリヒ・ティアリヒト」と、その騎士「セイール・エインズワース」のことであり、今は南大陸の港がある北側を管理している。そして、騎士のセイールはコリーウの姉であり、姫でもある。
「あ、いたいたっ! フレッド! 今日はありがとう!」
「フレッド! こんにちは!」
「ヘリオライト! アルテア! こんにちは、来てくれてありがとう」
オレンジの髪に金の瞳を持つ少年ヘリオライトは、手に持っていた袋をフレッドに差し出す。
「そうそう、これはハーストからフレッドたちへのお土産!」
「いちごミルクの素!」
「グラントエリックのフラン家?に、伝わるレシピで作った『いちごミルクの素』で、ジャムとシロップの中間のようなものだから、『他のお菓子にもかけて食べられる』って、ハーストが言ってた」
「私も一緒に作ったの!」
「それは、すごいな」
「コリーウたちの分はビリアに渡してあるから、『良かったら食べてくれ』って!」
「ありがとう! ヘリオライトさん、アルテアちゃん」
コリーウたちのお土産も、フレッドより先にハーストが受け取った。
フレッドは、お土産を異空間にしまう。
「もうすぐイベントが始まります。皆様、今すぐイベント会場に、お集まりくださいませ」「すまない、もう行かないとな」
「フレッドも出るんだっけ?」
「ああ、1番始めにな」
「頑張って、フレッドくん!」
「頑張って!」
「頑張れ!」
「ありがとう、コリーウ、アルテア、ヘリオライト」
「あっ! これも持って行って!」
コリーウはスカートのポケットから、いちごミルク
「いつものだけど……」
「うん、ありがとう、コリーウ」
フレッドはコリーウに微笑んだ後、「ぎゅっ!」と
「ソフィア!」
「わん!」
テディベアのようなソフィアを肩に載せたフレッドは、手を振って舞台に上がっていき、みんなはそれを見送る。
「では、私も準備がありますので、これで失礼いたします。皆さん、最後まで楽しんでいってください」
「はい!」
「ありがとう、ワイト!」
ハーストとコリーウの返事を聞き、ワイトは手を振り、みんなから離れていく。
「さあ、席に着くか」
「うん!」
アルテアが元気よく返事をした横で、ヘリオライトは首を傾げる。
「ところで、どこの席なんだ?」
「俺たちは……、一番前の中央の席だな」
「1番いい席だな。フレッドとワイトに感謝しないとな」
「ああ」
「ハースト! ヘリオライト! 早く早く! イベント始まっちゃうよ!」
「ああ、わかった!」
ハーストたちは席まで小走りしたおかげで、挨拶の前に席に着く。
「ピヨ?」
突然、ひよこの声がし、コリーウのカーディガンのポケットから、ピアがひょっこりと顔を出した。
「ピア? 起きたの? ピアも一緒に見よう?」
「ピヨ!」
言っていることがわかるのか、ピアは座っているコリーウの膝の上に移動する。
「最初は、四天王のフレッド様の挨拶からです! フレッド様、どうぞ!」
「本日はイベントにお集まりいただき、誠にありがとうございます。このイベントは、毎年、我々が主催しておりまして、普段忙しく働く方々にも楽しんでいただきたいと思っております。ぜひ、今日のイベントを心ゆくまでお楽しみください!」
観客たちから「わーっ!」と歓声が起こる。普段は「生意気な少年」と思われがちだが、フレッドはまともな挨拶もできる人間であり、四天王なだけあって強くて優しい部分もあり、西側の住民にとても人気が高いのだ。
「さあ、今回の最初の演目は、フレッド様とその可愛らしい契約聖獣ソフィアちゃんによる玉乗りと火魔法のパフォーマンスです! どうぞ!!」
舞台後ろの幕が開き、青い空に白い雲、緑の庭園が描かれた背景が現れる。
──フレッドくんの絵……すごいなぁ……。
コリーウには、それがフレッドの書いた絵と、すぐにわかった。
次にフレッドが中央に立ち、礼をして目を閉じる。その間にも、白いトイプードルのソフィアが赤い球に乗り、フレッドの周りをくるくると回る。フレッドが再び顔を上げると、彼の髪と瞳は燃えるようなルビーレッドに変化していた。両手から渦を巻くように炎が放たれ、しだいに、しだれ桜を形作っていく。それはテントに飾りつけられている旗のガーランドにも似ていた。
一方、一番前にいるハーストたちだったが、熱さは全く感じなかった。
「熱くない」
「本当だ」
「あれはフレッド様の燃えない火の魔法だ」
ビリアが、そう一言だけ話した。
それからも、フレッドのパフォーマンスは続いていく。赤く燃えるしだれ桜の間をソフィアが玉乗りしたまま駆けていき、体から魔法で光の粒を出現させる。たくさんの光の粒が燃えるしだれ桜に当たった瞬間、炎がはじけ、火の花びらと化す。ひらひらと舞い散る炎のバラの花びらと光の粒が煌めき、まるで幻想的な異世界で、お花見でもしているかのような気分になる。観客たちがその世界に魅入っていると、炎の花びらが集まっていき、今度は炎のバラとなり、舞台の上で咲き乱れる。観客近くの舞台上には大きな炎のバラが姿を現し、見る物を圧倒する。ソフィアが飛び上がり、玉から離れた瞬間、全ての花と光がはじけ飛び、炎と光の粒となって降り注いだ。また、ソフィアはフレッドの肩に飛び乗り、彼の首をぐるりと回り、彼と一緒に観客たちへ深々とお辞儀をした。
そうして、パフォーマンスを終えたフレッドとソフィアには、盛大な拍手が送られ、スタンディングオベーションまで巻き起こる。
「本当にすごい!」
「フレッド! ソフィア! 格好良かったよ!」
「にゃあ!」
「わんっ!」
「フレッドくん!」
フレッドはコリーウの声に振り向き、ふっと微笑み、彼女に手を振り、ソフィアとともに壇上を後にする。コリーウは、こぼれるような笑顔で、フレッドたちの姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていた。
🕊 🕊 🕊
その後も、どんどん演技が披露され、みんなは楽しんでいた。しかし、楽しい時間はすぐに終わってしまうもので、あっという間に、最後のパフォーマンスになってしまった。
「最後は何だろう?」
ヘリオライトがわくわくしていると、司会者が楽しそうに勢いよく右手を挙げる。
「トリあえず、ワイト・ホートリー様にトリをお任せしたいと思います!」
「……ホートリーだけに?」
「さあ、コリーウ様。あちらに行きましょうか?」
「え? でも、ワイトが出るなら見たいな? だめ?」
「いえ、大丈夫です」
「ありがとう、ビリア!」
ビリアの変わり身の早さに、アルテアはきょとんとし、ハーストたちは何も言わずに苦笑する。
「トリは白騎士ワイト・ホートリー様による白いトリのマジックです! どうぞ!」
「白いトリ……」
「ピヨ?」
ひよこのピアが、コリーウの膝の上で首を傾げている。
──もう、トリでツッコミはしない。
そう心に誓うヘリオライトだった……。
机と鳥かごが用意された壇上に現れたのは、白いワイシャツに白いネクタイ、ホワイトグレーのベストに白い燕尾服、白いシルクハットと白い手袋、白い靴を身につけた……白づくしのワイトだった。
ワイトは観客たちに一礼し、手に持っていた本を開いた途端、ハトが飛び出し、会場をぐるっと回り、彼の肩に戻ってくる。観客たちから盛大な拍手が起こる間にも、彼はそのハトを指にのせ、鳥かごに入れていく。それからも、彼は次々にハトを出す。
取ったシルクハットからハト、手に取り広げたマフラーから2羽のハト、両手から外した手袋に1羽のハト、胸ポケットから取り出したハンカチから2羽のハト。今度は下のポケットから取り出したハンカチからハトを出し、1羽から2羽へと増える。ハトを出すたびに、1羽ずつ用意された鳥かごに入れていく。
「すごい」
ヘリオライトが思わず呟くと同時に、みんなが感嘆の声を上げ、拍手が巻き起こる。
「ワイトは、昔から手先が器用なの」
「そうなの?」
「うん!」
あまり知られていないが、ワイトはコリーウの従兄だ。ビリアもそれを知っているが、「国王の甥だが、そんなことは関係ない」という考えの持ち主。最初は関係を知らずに攻撃してしまったが、今でも「ワイトがコリーウ様を口説いている」と、彼女が判断した場合のみ攻撃を加えている。
それからも、ワイトのパフォーマンスは続く。内ポケットから風船を取り出し、膨らませていく。割れた瞬間にハトが飛び出し、上空に飛んでいく。
ワイトの髪と瞳が急に輝き、キラキラと光る白髪と金の瞳に変わる。足下から白い光が円を描くように現れ、光によって鳥かごが開き、白い光が会場中に降りそそぐ中、白いハトが空へ飛び立つ。ハトが会場中を回り、光が収まると、全てのハトがワイトの腕に止まり、彼は観客たちに敬意を込め、深々とお辞儀をする。
「これにて、イベントは終了となります! 今まで、ご覧いただきありがとうございました!」
フレッドが締めの挨拶をすると、観客たちから一斉に拍手がわき起こる。ハーストたちもできる限りの拍手を送る。ワイトは元に戻った姿で、微笑みながら会釈していた。
🕊 🕊 🕊
「みんな、これから予定はあるか?」
「私たちは、これからみんなで夕食を食べに行くことになっているんです。皆さんも、ご一緒にいかがですか?」
「えっ? いいんですか、ワイトさん?」
「ええ、もちろん! 実は、皆さんの分も用意していただいているんですよ?」
「ありがとう、ワイト!」
「どういたしまして」
ハーストたちが仲良く話している後ろでは、コリーウたちが今後について話していた。
「コリーウちゃんたちは、これからどうするの?」
「私たちは、フレッドくんたちと夕食をいただいてから、2人の家に泊めてもらうの」
「えっ、そうなの?」
「うん、2人の家の裏に離れがあるから、そこに泊めてもらって、明日の朝に帰る予定なの」
「離れが来客用の部屋になっているんですよ。フレッド様は寛容なお方ですが、画家でもありますから、神経質なところもあるんです」
「そっか」
フレッドとワイトの家の裏には、アトリエと離れがあり、特に離れは来客用とあって、一通りの設備がそろっている。コリーウとビリアも、今日はそこに泊まる予定だ。
「じゃあ、とりあえず行こう!」
「このあたりで1番おいしいと評判のお店なんですよ?」
「うわぁっ、楽しみ!」
「にゃあ!」
「もちろん、ペットが大丈夫なお店ですので、ヘリオドール君も、カモミールさんも楽しんでくださいね?」
「わんっ!」
元気のいい声に、みんなでくすくすと笑い、お店に急ぐ。イベントも終わり、しんみりする時間だったが、みんなの心はまだまだ楽しく弾んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます