5

 その後、大学生になった大地が、五月の連休に帰って来た。

勉強にサークルに忙しい様子だが楽しい大学生活を送っていると意気揚々としている。

以前勉強を教えてもらった塾の先生とは時々会って仲良くさせてもらっているという。

今回も会う約束をしていて、勉強を教えてもらったり、将来に向けてのアドバイスをもらうという。


「今でも英語を特別にボランティアで教えてもらってる」と大地。


「まぁ、そうなの?それは有難いけどボランティアでいいの?」


「うん、その先生、今は英語の教師で、教えることが自分の勉強にもなって楽しいんだって!」


「ふ~ん、そうは言っても何かお礼をした方がいいかなぁ」


「だったら、母さん、うちに一度来てもらって食事でもご馳走してあげてよ。

一人暮らしで家庭料理に飢えてるらしいから」


「家庭料理ねぇ。じゃあ今度の連休でもその方の都合がよければ来てもらって」


「分かった!連絡してみるよ」


*******


 早速、次の土曜日に大地のお世話になっている先生を招くことになった。

名前を聞くと「ツッチー」って呼んでるそう。


「先生にその呼び方は失礼なんじゃない!」

と言うと


「そんな堅苦しい先生じゃないから、ツッチーって呼んで欲しいって先生が言ったんだから……。あっ!ツッチーからのリクエストで、ハンバーグがいいんだって!」


「まぁ、そう、それなら大地の大好物だから張り切って作るわ。でも、大地、いつからツッチーさんとやらと、そんなに仲良くしてもらっていたの?」


「中学生の時に塾に行き始めた時からずっとだよ。その時からラインの交換もして時々会ってたよ。母さんには言ってなかったけど」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る