クズで最低だった俺は、異世界で人類を救うAIロボットになりました。

沢田美

1話 プロローグ

 僕の名前は新庄龍星しんじょう りゅうせい、23歳、僕は今月をもってパパから社長を受け継ぐことになった。

 

 僕のパパは超大手の金融会社の社長なんだ、だから僕はパパのおかげで結構いい地位に居るから、好きな女にいい事が出来るんだ。

 

 SEXだってパパに頼めば気になっている女の子を脅して出来る。もちろん、世に暴露を促さないように「家族の地位がどうなってもいいか」て脅してヤルんだけどね。

 

 でもたまにやりすぎちゃうことがあるから、いつもパパに止められたりしてた。でも今日社長の座を貰ったら僕を止められる人間なんていない。

 

「おはよう! 涼花すずかちゃん!」

 

「おはようございます龍星社長」

 

 僕が最近気になっているスズカちゃん。彼女は僕が挨拶したら必ず笑顔で返してくれる。

 

 まぁ地位的には僕より劣って、ただの一般人だけど、いつか僕のモノにしてあげるからね。そしたら君は僕の奥さんになるからね。

 

 ※

 

「龍星社長、社長にご就任おめでとうございます」

 

 そう言ってくるのは僕の秘書、猿渡夜さわたり よる、女子だけどタイプじゃないからブサイクだ。そうだここは「猿渡」だから「猿」にしようか。

 

「では今日の日程はまず朝からは各金融会社の社長に挨拶、そして、昼からは今後の計画を——」

 

「そういうの面倒くさいからいらないなー、猿」

 

「さ、猿?」

 

「そう君のこと、自覚しといてね。あと今後の日程とかは君でやってって。どうしても必要な時に呼んで!」

 

 今日の僕は気分が良い、だから僕は優しく言ってあげた。でも猿は、

 

「あの、社長、社長に対してこう言うのもアレですが……これ全部社長が必要なんです。なのでそういうご判断はやめてください」

 

 とか生意気にも程があるくらいに僕に言ってきた。ムカつくなぁ、せっかく今日は僕が機嫌が良いのに。

 

「あのさぁ、君強いて言えば僕の「秘書」なんでしょ? それくらいやってもらわないと、君存在意義ないよ? これ以上僕をイラつかせると君の家族どうなるか分かるよね?」

 

「——何を言ってるんですか!?」

 

 また刃向かってきた、僕こういう言うことの聞かないやつ嫌いなんだよねぇ〜、しょうがないこうなったら。僕はあえて無言で立ち上がり、触りたくないけど猿の胸を揉んでやったw。

 

「——ちょっ! 何するんですか!? これは立派なセクハラですよ!」

 

「良いじゃん、減るもんじゃないし? あぁあとそれ以上僕に指図すると、君を犯してやるから。いいよ? 世間に公言すればァー? 証拠ないし? バレたとしても権力で潰すし?」

 

 僕がそう言うと、猿の顔が青ざめたw。僕は僕のやり方でここまで成り上がってきたんだ。それくらいいっぱい努力したってことだから、これくらいしていいよねー。

 

「……わ、わかりました。各金融会社からは私一人で挨拶に行きます。それでは失礼します」

 

 猿は顔を暗くしたまま、僕の部屋から出て行った。僕に逆らうからこうなるのになぁー。

 

 ※

 

 そして、それ以降、僕の秘書が僕に逆らうことはなくなった。なんなら、頼めばヤラせてくれるようになったw。

 

 そして、僕は何不自由ない日々を過ごしていった。

 

 僕のお気に入りのスズカチャンだって、着々だけどもうすぐで僕のモノになりつつある。ある喫茶店に行った時は、僕の全てを彼女に教えてあげたよ。

 

 そして、2023年 10月6日、僕がいつも通り、会社に出勤すると、何故か会社のエントランスルームにたくさんの警察官がいた。

 

 社員さんがやらかしたのかなぁー? あぁ、面倒くさ、色んなことになるじゃん。そんなことを思っていると、何故か警察官達が僕を取り囲んだ。そして、

 

「新庄龍星だな? 午前10時54分。現行犯逮捕する」

 

「は? 僕が何をしたって言うんだ? 僕は社長だぞ? 一般人風情が」

 

 僕がそう言うと、刑事らしき人間が僕をゴミを見るような目で、

 

「実はある女性の方から被害届が出されてな。捜査をした結果、あなたは部下にセクハラやパワハラをしていたことが分かった。なのでここで現行犯逮捕する。これで大体の状況がわかったかな?」

 

 と言ってきて、僕に手錠をかけやがった。そして、ソイツは僕を無理やりにでも連れていこうとする。嫌だ嫌だ嫌だ! そんなのあんまりじゃないか! クソ誰だその女てのは、まさか!

 

「おい猿! テメェか! テメェが被害届を出しやがったんだろ?! ふざけんじゃねぇ! 猿の分際で! 社長刃向かうなんてよ! そうだ、もう一回調教してやろうか!?」

 

 僕が怒りながら言うと、彼女は何故か泣き崩れ、周りの社員に慰められている。ふざけるな……泣きてぇのはこっちだってんのに。

 

「社長……いえ、このカス野郎! あんたなんか死ねばいいのよ! 死刑になればいいのよ!」

 

「は?」

 

 猿が猿の分際で、僕に……。

 

「行きますよ」

 

 ※

 

 警察車両に無理やり乗せられた僕は、大きな警察署の前に連れてこられた。

 

「行くぞ」

 

 僕はこのまま、牢獄生活なのか? 嫌だ自由が無くなるなんて嫌だ、そんなのあんまりじゃないか!

 

「嫌だァ!」

 

「おい落ち着きなさい——」

 

 僕は無我夢中に隣にいた警察官に突進し、そのまま街中へ溶け込もうとする。が、その時、パァンという音ともに僕の足にとてつもなく熱い感覚が襲ってくる。

 

「足がァァ! 熱い熱いよぉー! ママァ!」

 

 ダメだ、捕まったらこれより痛い苦痛が待ってる! 逃げなくちゃ!

 

 血を流しながら、僕は走った、激しい激痛に苛まれながら。

 

 ※

 

 そして、僕がたどり着いたのが、東京の駅だった。ここなら……ここで電車に乗って逃げれば。

 

 僕が激痛の中歩いていると、ある人物を目にした。

 

「スズカちゃんだ!」

 

 足を引きづりながら、スズカちゃんに近づき、彼女の肩を掴んだ。すると、彼女はいつものように笑った表情で僕の方へ振り向いてくれた。

 

「スズカチャン! 僕と一緒に逃げよう! ここではない……そうだ海外に行こうだから——」

 

「社長……嫌ですよそんなの」

 

「は? スズカチャン? 何言って」

 

「ちょうど今さっき、警察に捕まったって猿渡ちゃんから連絡きたのに、なんで捕まってないんですか? もしかして逃げてきたんですか? そういえば猿渡ちゃん傷ついてましたよ? 無理やり犯されて、体にはタバコで火傷したような跡が沢山あってとても辛そうでしたよ?」

 

「なんでそんなこと知って……」

 

 僕がそう言うと、スズカチャンは悪魔のような笑みで言った。

 

「だって私が出したんですもん。被害届」

 

「は? なんで? なんでなの? どうしてもそんなこと……」

 

「私、社長みたいなクズと話してる暇ないんでそれでは……」

 

「スズカチャン!?」

 

 その次の瞬間、次の電車が来るアラートが聞こえた。そして、突然、スズカチャンが叫んだ。

 

「きゃー!! 助けてください! ナイフを向けられてます! 助けて!! 離してください!」

 

 彼女はそう言うと、僕を線路上に突き飛ばした。

 

「なん……で?」

 

 スローモーションのような感覚の中、スズカチャンは僕を嘲笑うかのような笑みを浮かべていた。そして、近づいてくる電車。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 

 

「死にたくなァい!」

 

 そして、僕は電車に轢かれた。

 

 ※

 

 ……僕は死んだの……か? 僕が何したって言うんだ……いや、なんだこの感覚……僕は本当に死んだのか? なんだこの感触柔らかい。

 

「——ハッ!? ここは? ……僕は電車に轢かれて……」

 

 僕が次に目覚めた場所は、薄暗い真夜中の路地裏で、たくさんのゴミ袋の上だった。

 

 ……手錠がない?! 撃たれた足も治ってる?

 

 色々な疑問の中、僕が辺りを見渡していると、明るい光が路地裏の先に見えた。僕は咄嗟に走って路地裏から出る。

 

「——どこだ? ここは?」

 

 僕が目にした場所はどうも日本ではないような場所だった。空には空中浮遊する車、そして、道には家庭用掃除ロボットのようなものが徘徊しており、普通の人間もいた。

 

 これだけでも状況が分からない中、その状況をもっとややこしくする物があった。それは、この街の真ん中には超巨大な建物が立っていること。

 

 図鑑にも教科書でも見たことのない建物だった。

 

 ここは……外国? でもなさそうだな、一体ここはどこだ!?

 

「お、おい! ここはどこだ?!」

 

 僕は歩いていた男の肩を掴んだ。だが、何故かその人間には体温を感じられなかった。ひんやりとしていて冷たい……ここはやっぱりあの世なのか!?

 

 そして、肩を置いた人間がこちらへ振り向く。ただの人間のようだった。が、そう安心した瞬間。

 

「……感知中……人間と判断! 人間を発見した! 直ちに処理をする!」

 

 男はそう言うと、男の体は何かに形が変わるように変形し、黄色に発光する白い体をしたロボットのような化け物になった。

 

「ひ、ヒィ!? ば、化け物!」

 

 僕がそう叫んだせいか、周りにいた人達が一斉にこちらへ視線を向ける。そして、さっきの化け物と同じことを言って、ロボットに変形する。

 

 命の危険を察した僕は全力で走った。しかし、ヤツらの方がスピードは圧倒的に速く、僕の背中に何かが押し付けられ、その瞬間、意識が途絶えた。

 

 ※

 

「どうする? もし人界の奴らが私たちAIに刃向かってきたら」

 

「そうですね、人間は低脳な猿ながらも、私達を滅ぼそうとしている。大臣、ここは王手を掛けてみては?」

 

「そうだな、よし、この世界で最強のAI騎士を作ろう。先程ちょうどいい人間が捕らえられたわけだしな」

 

 ※

 

 真っ暗な視界の中、微かな光が僕の視界に入り込んでくる……僕はたしか化け物に襲われて——。

 

「——ッ!? ここは?!」

 

 僕が目を覚めると、そこは謎の白い空間だった。辺りを見ると、そこら辺には謎の機械や器具が置かれており、真上には太陽のように眩しい照明が備え付けられていた。

 

 そして、僕は何故か裸でX字に拘束されていた。

 

「だ、誰か! 助けてくれ! 助けください! お願いします!」

 

 僕がそう叫んでいると、どこからか自動ドアのようなモノが開く音が聞こえた。助けが来たと期待しながら、僕が目にしたのは白い人型のロボットだった。

 

 ロボットは僕に向けて一言も喋りかけずに、周りにあった器具を取り始める。

 

「た、助けてください! お願いします! 何でもします! 足だって舐めますだから! ——ッ」

 

 次の瞬間、ロボットはメスのような刃物を僕の胸に当て切り込みを入れて、僕の胸を縦に斬った。

 

 その度に伝わってくる人知を超えた激痛。そのあまりの痛みに僕は叫び、最後に目にしたのはロボットのようなモノが僕の胸の中に何かを施したことだけ。

 

 ※

 

 何度僕は激痛に襲われ続けるんだ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! これ以上の激痛は!

 

 その時だった、真っ暗な視界に誰かの声が聞こえてくる。

 

『これより、シンギュラリティを開始します。この機体にあらゆる伝説のスキル、英雄のスキル、全てのスキルをインストールします。成功しました。感情コントロールシステムをインストールします。成功しました。これより、縺ゅ>縺�∴縺� �撰シ托シ抵?シ��スゑス� �ク�ケ�コ�ア�イ�ウ�エ�オ �ァ�ィ�ゥ�ェ繧ゥ譁�ュ怜喧縺代ヱ繧ソ繝シ繝!。エラーが発生しました、何者かによる介入により、攻撃制御システム、AI制御システムがインストールできませんでした。これより、この機体を起動します』

 

 その声とともに僕の目が覚めた。それと同時だった、さっきまで白い空間だった部屋が警報と共に真っ赤に染まり、何かが火花を散らして壊れるような音が聞こえた。

 

 何故か僕の体は勝手に起き上がった。そして、僕の脳内に会社であったことの数々の事と、好きだった女の子に殺された記憶が流れる。

 

 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる、殺してやる、殺してやる僕をここまでコケにしたこの世界を殺してやる!

 

 僕の目の前には真っ赤なエラーと書かれた文字があった。体がとてつもなく熱く、今にも暴走しそうな意識だった。

 

 しかし、僕は何故かそんな暴走しそうな意識を制御できた。

 

「僕にとって全部邪魔だ」

 

 僕は自分の体とは思えないほどの速さで、両脇にいたロボットの頭をちぎり取った。警報が鳴り止まぬ中、僕は何故かこの建物の構造が理解でき、脱出経路まで分かっていた。

 

 僕がそのまま白い空間を出ると、目の前から武装したロボのような化け物達が来ていた。僕にとってその化け物の顔はあの悪魔のような女の顔に見えた。

 

「僕を裏切りやがって」

 

『敵意を確認しました、これより、戦闘モードに入ります』


 その声が聞こえると、僕の体はあの化け物のように変形し、腕を見ると赤い装甲をまとっていた。

 

「ぶっ殺す」

 

『魔力を使い魔法を使います、インフェルノ・フレア』

 

 そう僕の中で声が言うと、勝手に右腕が動き、手を床につけた。その瞬間、下からけたたましい爆発が起きた。

 

 熱いとかいう感覚はなかった、火傷もしていそうになかった、そして目の前にいた化け物達は爆発で焼き払われた。

 

 僕は次から次へと来る化け物達でストレス発散をするように、化け物を殺していった。

 

 気づけば建物は崩壊し、僕の下には大量の化け物の体があった。僕は息を整えながら立っていた。すると、僕の頭からまたあの声が聞こえた。

 

『殲滅したAIロボットは1156体です。お疲れ様でした——危険です、敵を感知しました』

 

 休憩をとっていたのも束の間、突然、僕に向けて何かが飛んでくる。その瞬間、僕の目の前にバリアのようなものが張られ、攻撃を受け止めた。

 

 投げられた物を見るとそれは槍だった。

 

「おいおい、さっきの攻撃をバリアで受け止めるとはテメェ人間じゃねぇな」

 

 そう言って現れたのは、細身のくせに屈強な体をした赤髪の男が立っていた。

 

『目の前にいるのは人間ではござません。情報を処理中——あの人物はこの世界にいる政府の武闘派に所属する上層部のAIです』

 

「つまり僕いや……俺の敵だ」

 

「おいおい、下等なAIがこうも暴走するとは思わなかったが、これは修理が必要みたいだな!」

 

 男はそう言うと、腕から槍を生み出し、それを構えた瞬間、男はあっという間に俺の目の前にいた。

 

 槍とバリアが激突する瞬間、激しい突風と爆発が起きた。

 

「ナニっ!?」

 

 しかし、男の攻撃が俺に届くことはなかった。攻撃がバリアで受け止められた事に男が動揺した瞬間、俺は叫んだ。

 

「全力でぶちのめす! 死んでろチンカス野郎!!」

 

『本人の意思により全ての魔力を使いスキルを全開放、害敵の駆除をします』

 

 そして、俺はまるで落雷のような速さで、男の首をもぎ取ると、自分の周りにあった建物全てが吹き飛んだ。

 

「バカ……な!」

 

 ビリビリと火花を散らして男の体は爆散した。

 

 

 

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