第58話 スキルの秘密


さて、当面の危機は去った。


あとは……どうするかな?


今の僕は…..


聖夜

LV 34

HP 500

MP 390

ジョブ:ジャームズマン(ばい菌男)

スキル:翻訳、アイテム収納(収納品あり)空気人間 お葬式ごっこ ばい菌 亀人間 下級人間 腐る目 物隠し 風評 要求と罰 魅了 無限の精力 読心 性技術

使い魔:来夢(来夢)サキュバスクィーン 脳内寄生 


翻訳とアイテム収納、空気人間、お葬式ごっこ、ばい菌、亀人間は解る。


魅了、無限の精力、読心、性技術はサキュバスの能力だ。


実際に、三人相手に知らないうちに読心以外は使っていたような気がする。


あとは……下級人間 物隠し 風評 要求と罰 が解らない。


『貴方随分と変わったスキルを持っているのね』


『もしかして、解るの?』


『どれも反則級じゃない! 空気人間 お葬式ごっこ ばい菌 亀人間は解らないけど、他のは解るよ』


それで充分だ。


というか、それは全部解るから問題ない。


『下級人間ってなに?』


『それはね、自分の方が下である事を認めることで、他の人間に責任を取らせる事が出来るんだよ……凄く卑怯なスキルだよね』


今一解らない。


『どう言う事?』


『例えば、そうだね、聖夜が誰かを殺したいとか、誰かから盗みをしたいとするじゃない? あらかじめ『上級人間』を決めておいてスキルを使いお金を払っておけば、その責任は聖夜でなく『上級人間』の責任になるわ』


そうか……これも僕への虐めからできたスキルだ。


確かに、昔


「お前みたいな下級国民が上級国民の俺達に逆らうなよ!」


「そうそう、お前みたいな下級国民は俺達がいるから生活出来るんだ」


そういって殴られて、金をとられた事がある。


「金さえ払えば、助けてやるからよ……貧乏人が」


金持ちなら貧乏な僕から金をとるなよ。


そう思っていた。


これだ。



『物隠しは?』


『それこそが、ある意味最強のスキルよ、文字通り物を隠すスキルだわ』


そんな凄い事か?


『そんな凄い事かな……』


『最強よ! そうね、例えば人間側なら、聖剣をそのスキルを使って隠してしまえば、貴方が死んでしまってももう戻ることは無いわ。魔王側も同じ闇の羽衣を奪って隠されたら戦況は不利になるわ』


確かにそうなのかも知れない。


ハァ~これも僕の虐めから出来たスキルだ。


良く教科書やらノート、鞄を隠されて、何処からも出て来なかった。


多分、そこからだな。


焼却炉で焼かれる事が多かったんだから、当たり前といえば当たり前だ。


『風評は?』


『それは情報操作用のスキルね。そのスキルを使って悪口を言えば、それがさも本当にあった事の様に伝わるわ』


これはも僕へのいじめから派生したものだ。


良く、好きでも無い女の子を僕が好きだとか、更衣室を覗いたとかカンニングしたとか、陰で言われていた。あれから出来たスキルなんだろうな。


『なんだかな……それで要求と罰も解かる?』


『それは、要求をだしてクリアできないと罰する事が出来るという悪質なスキルだね』


これは……僕が何か頼まれた事が出来ないと罰を与えられた事から出来たスキルか。


「今から3分以内に焼きそばパンを買ってこい。間に合わなかったらケリ入れるからな」


「解ったよ......」


「あ~あ残念、今はもう5分だ……それじゃあな! オリャァァ」


バシッ。


「痛いっ!」


多分、あれだ。


『こういうスキルって他にも持っている存在っているのかな』


『いまは、多分居ないんじゃない? どれも珍しいスキルで私だって聞いた事はあるけど、初めて見たものばかりだよ!』


『そうか……』


僕みたいな人間はそう異世界に転移して来ないだろうからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る