第46話 王女SIDE
「やはりそうでしたか!」
「はっ姫さま! 間違いありません」
能力が無い。
そう思い、追いだしたあの聖夜という異世界人が、精神に異常をきたさないで、冒険者として活躍しているそうなのです。
しかも……勇者大樹が魔族と交戦していたあの洞窟に潜っていたという話です。
今現在は殆どの異世界人が精神に異常をきたして真面に戦えないなか、同じ条件で彼は異常をきたしていない。
まさか、精神力を保つ有用なスキルでも持っていたと言うの?
「それで、他にも何か情報はありますか?」
「それが、冒険者として少しは名前が知られる様になっています……尤も賛否両論ありますが……」
「うん!? 賛否両論?」
なにかおかしな話にでもなっているのかしら?
「はい……同じく追い出した塔子を背負い、綾子を肩車をし……変な戦い方をしているそうです……しかも怪物令嬢と言われていたリリアを引き取り生活しています」
「……あの顔を薬品で焼かれたという怪物令嬢とですか……」
目が見えない二人に、怪物令嬢……一体、何を……
「そうです! 」
「それで実力はどうなのですか!」
「それが、良くわかりません。 変な戦い方をしているので、他の冒険者からは変態呼ばわりされていて、一部の人間は怪物王子と呼んでいるそうです」
「へんな戦い方ですか……ああっ確かに肩車におんぶ……変ですね。 ですが怪物王子ですか?」
「怪物令嬢と暮らし、戦い方には品が無い。 まぁ……どう考えてもおかしな戦い方ですから……まるで虫系の魔物みたいに見えた事から、そういう字(あざな)がついたみたいです」
「多少実力があっても品がないのなら勇者の代替えにはなりませんね……ですが、何かの役に立つかも知れませんから引き続き監視をお願い致します」
「はっ」
何かが引っかかります。
異世界人が死ぬか、精神をきたすかの、あの洞窟の生き残り。
目の見えない聖女の塔子と異世界人綾子の引き取り人。
そして、皆が馬鹿にしたジョブにスキル。
あのジョブやスキルは本当にクズなのでしょうか?
異世界人が皆が口を揃えて言うから、追い出しましたが……
本当は何か見落としがあって、本来は有用なスキルを持っていた。
まぁ、全員が『役立たず』と言っていたからそんな事はなさそうですが……
勇者が使えなくなった今、少しでも魔族に対抗する戦力が必要なのです。
良く考えたら異世界人。
品が無くても戦えるなら、利用価値があるかも知れません。
今のこの世界の人間には、もはや余力等ないのですから。
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