第44話 タンク?
これで当分の間の危機は去った。
あとは暫くしたら、この街を去れば……もう安全だよな。
「あの……聖夜様、その恰好で出かけるのですか?」
「今日は討伐の日だからね」
綾子を肩車して塔子を背中に背負っている。
そして、少しお金に余裕が出来た僕はで二人が外れないように拘束具を作っていた。
魔物の皮で作った特別製で特に肩車をしている綾子が落ちないように頭部の皮の兜にはハンドルみたいな物をつけていて、塔子はまるでランドセル状態に皮で固定されている。
「まぁこれが俺達の戦闘形態だから……」
「ですが、それ変態に見えますよ?」
「まぁ、確かに……余りモゾモゾしないでくれないかな?」
「私に胸を押し付けられて嬉しいでしょう?」
「うんうん、私の股間に挟まれて嬉しいよね」
「いいや全然。これは生きるためにお前達を使っているだけだ」
大体、その気になれば形上は奴隷なんだからそう言う相手もさせる事は出来る。
確かに容姿は美少女でどちらも可愛い。
だが、体にある無数の傷が、そういう考えを否定させる。
『最上級ポーション』と『魔法の杖』それが僕の中の二人だ。
まぁ、重いけどね。
「私は構いませんが……クネクネしていると気持ち悪くしか見えませんわよ? 痴女に間違えられますわ」
「あら、リリアさんもしかして焼いてますの?」
「うん、うんちょっと恥ずかしいけど!? 私達ラブラブだから」
ハァ~ なんとなく好かれているのは解るけど。
性格の悪さを知っていると『なんだかな』と思ってしまう。
「リリア、此奴らは金を稼ぐ道具だから、それじゃ行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
リリアに見送られながら僕は森に出掛けた。
◆◆◆
綾子を肩車し、塔子を背負っているからダンジョンや洞窟は向かない。
どうしてもこうひらけた場所になる。
今の自分の状態は……なんだか昔のロボットマンガみたいだ。
まぁ、頭脳は綾子じゃないんだけど。
「T、早速、探索魔法」
「わかったわ、後方より2体魔物がきます」
「了解、後方にオーク2体発見! 」
僕は体を後ろに向けてオークと向き合う。
「A、 ファイヤーボール」
「ええ、行くよーー! ファイヤーボール!」
「着弾、もう一度同じ方向に」
「わかった! ファイヤーボール!これで良い?」
「うん、上出来」
ファイヤーボールが上手く着弾した。
オーク2体は絶命した。
僕の『空気人間』と『ばい菌』を使った暗殺は便利で魔物にも通用する。
だけど、正面切って戦う事も必要だと思った。
だから、この戦い方も必要なんだ。
そう思い……この戦い方も週に2~3は行っている。
それに塔子や綾子もレベルをあげておけば、更に何か呪文を覚えるかも知れないしな……
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