神の左腕
わたくし
十年前
「キャリアーズ選手の交代をお知らせします」
「ピッチャーの葛城に代わりまして、ピッチャー……」
ウグイス嬢が一拍の間を置く。
騒がしかった球場全体が、ウグイス嬢の次の言葉を待つために静寂になる。
「伊吹、背番号19!」
球場に響く大歓声。
キャリアーズ応援団席は勝利確定の歓喜の大声援、相手側応援団席では諦めの溜息がこだまする。
両側の歓声の真ん中に『19』の数字を背負った男が立っていた。
磯浜キャリアーズ 背番号19番 伊吹
キャリアーズの守護神だ。
「5年前、高卒のドラフト7位でキャリアーズに外野手として入団」
「入団3年目から投手に転向してから瞬く間に守護神に上り詰めました」
「キャリアーズのリーグ3連覇、そして2年連続の日本一に最も貢献した選手でしょう」
「キャリアーズファンからは『神の左腕』と呼ばれています」
「さぁ、伊吹が登板した事でキャリアーズの日本シリーズ3連覇は確実でしょう!」
実況アナウンサーが捲し立てる。
「空振り三振!」
「試合終了! キャリアーズ3年連続日本一です!」
「ピッチャー伊吹とキャッチャー赤城がマウンド上で抱き合っています!」
「他のチームメイト達も集まってきました!」
「あっ!
「これから歓喜の胴上げが始まります!」
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