迂遠なメッセージ

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『ゲームしよ。今から言うアカウントの最新動画のコメント欄に、一つずつメッセージを散りばめたから探してみて。見つけたらそのコメントにイイねして。最後にメッセージを残したアカウントの動画を確認して』

　どういうつもりだろう。よくわからないが彼女の遊びに付き合う事にした。

　S子から送られたアカウントは全部で5つ。面倒だなと思いながら一つ目のアカウントを確認する。

　ーーこれか。

　@charm999 【き】

　メッセージらしきものを見つけた。残り4つを確認する。

【き】【い】【だ】【い】【ら】

　5つのメッセージを見つけた順に並べたがこれでは意味が通じない。だがすぐに導ける単語が一つだけある。

　だ　い　き　ら　い。

　ーー何だこれ？

　俺はS子にメッセージを送ろうとしたが、『最後にメッセージを残したアカウントの動画を確認して』という指示にとりあえず従う事にした。

　アカウントを開くと、一つだけ動画が投稿されていた。再生すると、画面は真っ暗なままだった。もう一度イヤホンをして動画を再生し直した。

「早く別れろよクソ女」

　小さい声だがはっきりとそれだけ聞き取れた。

　すぐにＳ子に通話を試みたが繋がらず、後日学校に言って直接問いただしても「知らない、そんなの送ってないし投稿もしてない」と否定された。嘘をついている様子もなかった。あの動画は既に削除されており、証拠を突きつける事も出来なかった。

　結局あれがＳ子の仕業なのか何も分からない。

　ただ一つ。動画で聞いたあの声は、よくよく思い返してもＳ子とは全く違う男性の声だった。