第8話 さよならユウレイ君…

 週末のデートを終え、晴れてマリーと恋人になれたヒカリは登校中に携帯の待ち受けを見てはニヤけてしまう。

周りの視線にも気付かない。

今までと別な意味で眼中にないのだ。

やがて自分の教室に着いていつも通り自分の席へ向かう。

ざわめきが起きている。

「あれって、誰?」

「もしかして、ユウレイ君?」

「超絶イケメンじゃん!」

ヒカリはいつも通り耳にイヤフォンをして英会話を

聞き始め目を閉じマリーとのデートの思い出を回想する。

1人のチャラついた金髪がヒカリに声をかける。

しかし、ヒカリには聞こえないし、聞く気もない。

業を煮やした金髪はヒカリのイヤフォンを取り

「スカしてんじゃねえぞ!陰キャがよ!」

「君には関係がない、返してくれないかな?」

金髪はイヤフォンを放り捨てた。

「自分で拾ってこいよっ!」

イキがる金髪の前に立ち上がり見下ろしながら

「僕は君に何もしてないが、何がしたい?」

「だから、ナマイキなんだよっ!」

そう言って殴りかかる…しかしその拳を手のひらで

受け握るヒカリ。

金髪は振りほどこうとするが外れない。

イラつき今度は逆の手で殴りかかる…しかしそちらも握られてしまう。

ケリを入れようとするが、その足を膝で受けられ

逆に痛い思いをする。

ヒカリはグッと力を込めて上から金髪を抑え付けて

いった。

「いでぇ、いでえよ〜」

ついにはしゃがみ込み腕を捻られる金髪に

「僕に構わないでくれるかな?」

「わ、わがった、もうしねえ、しねえからっ!」

掴んでいた手を離し、イヤフォンの方を向くと

「はい、これっ!」

ウットリとした女子にイヤフォンを手渡される。

「ありがとう」

そう言って席に座り、また英会話を聞き始める。


休み時間ごとにひと目彼の姿を見ようと他のクラスの女子が集まる。

昼休みににはちょっとした人だかりになる。

その合間を縫っていつもの場所でお弁当を食べようと思うが何人かぞろぞろと付いてくる。

困って溜息をつき首を傾げていると

「何か困りごとかな?後輩君」

目の前に眼鏡をかけた涼やかな美少女が立っていた

その子に向け小声で

「実は1人でお弁当を食べたいのですが…」

「なるほど…1人になれないのね」

「はあ、まあそうです」

「よろしい、付いてきて」


そう言って案内された場所は生徒会室…。

スタスタと入っていく彼女に続く。

「今の時間は誰もこないわ、だから好きな所に座っ

 て食べたらいいわ」

そう言ってもらえたので空いてる机に付いてお弁当を広げていると…?向かい側に彼女が座り頬杖を

付いて見つめてくる。

「あの…、食べづらいんですけど…」

「あ、あっ、ごめんねついっ、ついよ本当に…」

と、笑ってごまかされる。

なにやら落ち着かないが急いで食べて席を立つと

「君、名前は?」

「1年C組の東野光です」

「私は3年の霧ヶ峰詩織(キリガミネシオリ)よ

 今は生徒会長をやらせてもらっているわ」

「は、はあ〜、ありがとうございました」

そそくさとその場を去ろうとすると…

「ちょっと待って!」

生徒会長に呼び止められる。

「君は生徒会に興味はないかなあ?」

「はあ、特には有りません」

「き、君なら良い仕事が出来ると思う、1度考え

 てみてくれないかな?」

「わかりました、考えてみます」

そう言って去って行く姿を見送る生徒会長…。

(あれほどのイケメンが役員になれば生徒会の

 人気が間違いなく出るはずだわ)

個人的な興味と打算で何やら企む生徒会長であった。



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