第2話 ふたりの馴れ初め

 いつものように1人で帰っていると何やら助けを求める声が(英語が)聞こえる?

そちらの方に近付いて見るとどうやら繁華街の裏通りから聞こえる。

「Let go of me,pervert!」(離してよ、変態!)

「ちょっとぐらいいいじゃん、レッツゴー!」

「I don't know what you're talking about!」

(何言ってるかわからないわよ!)

どうやら外国人の女の子をヤンキー(二人組)がナンパしているようだ。

その女の子と目が合うと

「Please help me!」(助けてよ〜)

助けてたいのは山々だけど…。ヤンキー達もこっちを見たよ、仕様がないか…。

「あの…、彼女…困ってるみたいですよ」

「おめえに関係ねえだろ!痛い目に会いたくなかったらとっとと消えな!」

そう言っていきなりヒカリを殴り倒した。

「キャャー!」女の子の叫び声が聞こえた。

殴られ尻もちを付いたヒカリの頭の中でキーンと音がした気がして意識が切り替わった…。

倒れたヒカリを放おってヤンキーは女の子に向き直る。その後ろでヒカリはポケットからハンカチを取り出して長い髪を後ろにひとつに纏めた。

精悍な顔が現れ、口元には殴られた時に切れた血と

笑みが見えた。


「ヘイ、カワイイ女の子に無理やりはダサいぜ!」

後ろからの呼びかけに驚くヤンキー達と女の子。

一瞬、間をおいてヤンキー達が殴りかかってくる。

「引っ込んどけったろーがっ!」

「ハイハイ、先に殴られたから正当防衛ね」

ヤンキーの拳をヒラリと躱しボディーブローを入れる、続いてもう一人のヤンキーも殴りかかってくるが、これも躱してハイキックで昏倒させた。


呆然として立っている女の子の手を引き、人通りの

多い大通りまで出て

「Are you hurt?」(ケガはない?)

「……」

「さっきは英語で話してたよな?…」

「大丈夫!ケガはないわ」

「えっ、日本語話せたの?」

「うん、煩わしいから解らない振りしてた」

「なるほどね」

「それより、ありがとう」

「いやいや、困ってる時はお互い様だよ」

「それにしても殴られて血が出てるわ」

そう言うと彼女はヒカリにしやがむように指示して

ハンカチを取り出し血を拭ってくれた。

更にクチビルにキスをした。

「……あの、ファーストキスなんですけど」

「あら、私もパパとママ以外は初めてよ」

二人は顔を見合わせ思わず吹き出した。

「僕は東野光だよ」

「私はマリー・ローレンス、マリーでいいわ」

「じゃあ僕はヒカリで」

「オーケー、ヒカリ、その格好は高校生よね?」

「うん、この春から高校生だよ」

「じゃあ、私の1個下ね」

「あ〜、お姉さんだったかあ」

「ねえ、このあと時間ある?」

「全然ありますけど…?」

「それじゃ、お礼に美味しいモノをご馳走するわ」

そう言ってマリーは手を引きオシャレなスウィーツ

のお店に連れて行った。

綺麗な金髪をなびかせ、スラリとスタイルの良い美少女に手を引かれドキドキが止まらず、心臓の音が

バレはしないかと心配になるヒカリであった。

二人でスウィーツを食べながら会話するが、話せば話すほどに相性が良いと思えた。

1時間ほどの会話でマリーはすっかりヒカリのことを気に入り連絡先の交換と近々また会う約束をした

これがマリーとヒカリが出会いの馴れ初めである。

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