給食の時間

@SAYMTA

給食の時間

 蝉の鳴き声も聞こえなくなり

プールの水も緑になり始めた頃…

今日も4時間目が終わるチャイムがなり給食の時間がやってくる。

「みなさん、手をあわせて、いただきます」

給食の時間は静かな授業中とは裏腹に教室が一気にうるさくなる。

まるで校庭で飼っている動物の泣き声の様に

「この量じゃ足りねぇよ、もっと食わせろ」

「君ダイエットしてるって言ってたよね?」

「明日からすると今決めた!」

「それ、昨日も言ってた…」

「うるせぇよ!だって今日の給食に肉が出るって知らなかったんだもん!」

「肉なんてほぼ毎日出るじゃないか」

「でもな…実は太ってる様に見える俺の体は

 ほぼ筋肉なんだぜ!」

「へー」

「お前信じてねぇだろ!あとお前はミルク飲み過ぎなんだよ。」

「骨が丈夫になるからいいじゃないか」

 そんな話をしている後ろで…


「はぁ〜…俺この部位の肉好きじゃねぇんだよなぁ。残しても先生に怒られないかな?」

「怒られるとかの前に残したら勿体無いよ」

「そんなこと言ったらキリがねぇよ。今もどこかで残してる奴はいっぱい居んだ」

「残すなら最初から食べないでほしいわ。肉がなくても野菜やお米を食べればいい」

「俺はこの部位が嫌いなだけで他の部位は好きなんだよ。それに嫌いなもん無理に食わなくていいだろ…これ食わないで死ぬわけじゃあるまいし…」

「こらこら…残したらダメですよ。」

「先生…」

「このお肉は私達に美味しく食べられるために生まれてきたのです。私達が美味しく食べてあげることが彼らの幸せなのよ。」

「わかったよ…残さず食うよ。」

「えらいわね。さあ皆さんそろそろお時間ですよ。」


「手をあわせて、人間の命に感謝を…」

「ごちそうさまでした。」

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