第2話

ある日の学校帰り、俺はなんとなくマネキンを見てみようと思った。

あの日以来開いたままシャッターをくぐり、中に入る。

そしてながめた。

すると気づいた。

二十体あるマネキンの中の一体。

その首がなくなっていることに。

――えっ、なんで?

なぜかはわからない。

それにマネキンの首が一つなくなったからと言って、どうにかしようとも思わない。

少しばかり気にはなったが、俺は倉庫を出て家に帰った。


数日後、再び倉庫に入ると、首がなくなったマネキンが二体になっていた。

不思議に思いつつ、俺は倉庫を出た。


学校に行く途中、俺は雅俊に聞いてみた。

「あの倉庫のマネキン、二体ほど首がなくなっているんだけど、おまえ何か知らないか?」

雅俊は、えっ、と言う顔をしたが、知らないと答えた。

その様子は俺には本当に知らないように見えた。

同時に雅俊は、あのマネキンには何の関心もないように思えた。


しばらくしてからのこと、俺は久しぶりに倉庫の中に入った。

――一、二、三、四、五。

首のないマネキンが五体になっていた。


夏休みになった。

学校に行くことはない。

そして倉庫の前も通らなくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る