グルメダンジョンからの飯テロ(意味深)配信ーダンジョン食材に魅せられた僕は偶然助けた大人気配信者のクラスメイトに配信へと誘われるー
ミジンコ
1章 ダンジョン配信者たちとの出会い
第1話 君にとってのダンジョンとは……
今日も今日とてダンジョンに行った帰り道。僕は迫る夕飯の時間になんとか間に合わせる為に家路を急いでいた。
本当なら……今頃いつも通りの帰りの電車に乗っていたはずなんだけど。
今日はちょっとしたトラブルがあってその結果、駅に到着するのがいつもより遅れてしまった。その所為で電車に乗り損ねてしまったのだ。
という訳で今は、家までの道のりを疾走している最中である。
正直、ダンジョンの外で力を込めて走るのはしたくなかったんだよね……だって踏み込めば地面は割れるし、周りの人達を風圧で吹き飛ばしてしまうから。それをしない為に気を遣うのも結構疲れるし。
なるべく目立たないように建物の屋上や屋根を使いながら街中を走っていると、通りにある大画面に見慣れた人物が映ったのが見えたので、少しスピードを緩めてそっちに視線を向ける。
画面に大きく写し出されていたのは『ダンジョン配信者』として今、大人気沸騰中のクラスメイトの少女だった。
知り合い――という程でもないが少なくとも顔見知りではある。まあこっちは向うが有名人だから知っているというのもあるから、向こうが僕のことを認識しているかどうかは別だけど。
まあ顔ぐらいは分かるんじゃないかな?……分かるといいなあ……
一応ついさっき関わったばかりだし。
大画面の中でその女の子は何かのインタビューに応えていた。
それもどうやら終盤にさしかかっていたようで、いかにもって感じの質問をされていた。
『それでは最後に、貴女にとってダンジョンとは何ですか?』
あなたにとってのダンジョンは、か……
ちょっと気になったので足を止める。
ダンジョン内での戦闘や探索の風景など様々な様子を配信するダンジョン配信者――通称『D-tuber』として大成功している彼女の口からどんな言葉が出てくるのか。
僕にとってその答えは決まっている。でも思い返してみれば他の人がダンジョンに行く目的なんて考えたことも無かった。
これまでは特に気になることも無かったからね。
でも今日はあんなことがあったし、ちょっとだけそういうのが気になっているのかもしれない。
僕は画面の中のクラスメイトの続く言葉を待った。
それほど待たずに、彼女はハッキリとして口調でそれに応え始めた。
『私にとってのダンジョン、か……そうですね。うん、やっぱりこれしか無いかな。私にとってのダンジョンは――アルバム、かな?』
『アルバム、ですか??』
インタビュアーの人が困惑した様子でオウム返しのように同じ言葉を口にする。
というか僕もその言葉に戸惑っていた。ダンジョンという場所とアルバムという言葉を結び付けるような人がいるとは思わなかったからだ。
それはもう思わずズッコケるかと思ったよ。
『はい、アルバムです。私は元々アイドルになりたくて今の事務所に入ったんです。そのときはダンジョンにはあまり関心、というか興味がありませんでした。でもその後で探索者としての才能があることが分かって、なんやかんやあってダンジョン配信者になって……それでも最初は渋々って感じでした。だって汚れるし怪我もするし、とてもアイドル志望の女の子が好き好んで行く場所じゃないですよね?』
そう言って苦笑いのような表情を見せる。もしかすると配信者を始めた頃でも思い浮かべているのかもしれない。
何かに思いを馳せているような、そんな目をしているように見えた。
『危険な経験も沢山して……でも少しずつ視聴者さんが付いてくれて、応援してくれる人が増えていって。その階層に行く度に「前にこんなことがあったな~」って思い出したり、モンスターを見るたびに「最初の頃は苦戦してたな~」とか考えたり。その内にアイドルじゃなくてダンジョン配信者としての私を好きになることができました。だから――私と、そして視聴者さんたちの沢山の思い出がダンジョンには詰まってるんです! だからアルバムかなって――ちょっと変ですかね?』
『いえいえ、そんなことありませんよ! 実は私も何度か配信を見たことがあるのですが、そんな風に言っていただけて一視聴者として胸が一杯になる思いです!』
そうして感極まった様子のインタビュアーの人とその後に二、三言話してインタビューは終わった。
見たいものは見終わったので僕も出発しようと思った時だった。
画面の上部に速報が流れた。内容は――
『人気ダンジョン配信者「
僕のクラスメイトであり、さっきまで画面の中でインタビューを受けていた少女こそ、速報の中で名前が登場しているダンジョン配信者『天道カナ』こと『
その速報が流れると同時に下の街が俄かに騒がしくなる。
さすが大人気配信者だけあってその知名度は凄まじい。その速報が流れた途端に街の騒々しさが一気に増したのだ。
耳を澄ましてみれば「大丈夫なのか……?」「うそ、ホントかよ!?」などなど天堂さんを心配する声が聞こえてくる。
まあでも――そこまで心配しなくても大丈夫だけどね、と内心で独り言ちる。
と言っても僕が個人的にそれを知っているだけで、さっきの報道しか見てない人からすれば安心する要素なんてどこにも無いんだろうけど。
でも天堂さんが無事なことは知ってるし、特に命に別状がある状態じゃないことも見て分かっている。
確かに僕が『ダンジョン』で天堂さんを見つけたときはかなりの重傷だったし、もう少し遅れていたら最悪死んでいた可能性すらあった。
でも今はもう大丈夫だ。重傷どころかかすり傷すら残っていない……はず。
細かに確認した訳じゃないから断言は出来ないけど、見える範囲の怪我は全部治っていたからまあ大丈夫だと思う。
きっと明日の学校は凄い騒ぎなんだろうな~。それもしょうがないか。だって天堂さんは学校でも人気者だから。
そんなことを考えていると「ぐうぅ~~」とお腹の鳴る音が聞こえてきた。
「お腹空いた……はやく帰ろ」
今日はいつもよりお腹が空くのが早い。
きっとダンジョンで中途半端にしか食べられなかったせいだろうな。それに僕にしては珍しく走ったし。
空腹を訴えるお腹を抑えつつ家路を家路を急いで帰るのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ついに開幕しました!!
暫くは書き溜めた分を使って毎日投稿をしていこうと思っています。
という訳でまずはプロローグとして二、三話程、お付き合いください!
さすがにこれだけだと全然本文に触れられていないので、今日のお昼ぐらいにもう一話投稿したいと思います。
その後は一日一話更新を心がけるのでお付き合いください!
(プロットは組んでみたけど書いてる途中で二転三転するしでほぼ見切り発車みたいな感じですがよろしくお願いします……)
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