第8話 商人魂
で、ですよ。
今もう街だいぶ目の前まできてます。いやぁなんとか早めについたね。まぁ日は暮れちゃったけど、それでも
さっきまではちっぽけだった街の全貌が今でははっきりとわかる。
街一体は城壁のようなもので張り巡らされ、その内部は見えこそしないがそこが活気に満ち溢れたあたたかい場所なのだということはその明るさから感じとれる。
「よぉーし!おぉーいだれかぁー、はいりたいんだけどーー‼」
僕は走りながら大声を張る。
距離的にもちょうど門番からも見えるようになっただろう。
「な、なんだあの集団。人と…ケンタロン…?」
「なに言ってんだ、頭がどうかしちまったか?んなわけな…」
「ごんsdkんvlsにおpgrsんpきえんきvdfにきrf‼」
「い、いやぁあああああああああ‼‼」
門番がケンタロンに負けじと叫んでいる。まぁそりゃこの絵面は怖いわな。
「だ、だめだ。兵を招集しろ!なんでもいい、手当たり次第に捕まえてこい‼」
なぁんか街側が不穏な感じ。なんでよ。
「いれてくださぁあああい‼」
そしたら何を思ったか門番総出で槍構えてきやがった。
「「「断る‼」」」
んな合唱してまで僕を拒みたいのかよ。横一列にずらぁって並んでからに。え、これもしかして入れない?
「門を死守しろ‼」
「なんでぇ‼」
なんか最近騒がしい奴ばっかだな。 ※You too
「かぁえれ!かぁえれ!かぁえれ!」
門番たちの切実な叫び。いやこれいじめだよね。よってたかって帰れって。
「前方の敵、まっすぐこちらへ進行中!守備、および迎撃態勢!前陣は槍で敵側の戦意を削ぎ、楯で勢いを食い止めろ!後陣は敵方の勢いが落ちるのを狙って攻撃!目標の静止、可能であれば追い返す!総員、何があっても街に入らせるなぁ‼‼」
何があっても入らせるなって……
えじゃぁこの牛さんをどうしろと?ここまで caw chaseしてきたのに。
牛さんの悲痛な叫びを感じるよ背後から。えぇこれ突破するかぁ?
相当な人数で陣を組むもはや門兵さんたち「うぉぉおおおおおおお‼‼」
いやいやいやあれは無理だって。どっちかに死人が出るよ絶対。ええぇせっかくここまで来たのにぃ。え、ええぇ、いやぁ…ええぇ.........
仕方がないので僕は新たな街を前にして迂回を選択する。門兵さんたちに危害が無いようできるだけ横長に大回り。
「おおぉ!敵が退いていくぞぉ‼」
バンザァーイ バンザァーイ バンザァーイ
ったく、こっちの気も知らないで。こちとら君たちに新鮮なお肉を提供してあげようと思って精力注いで連れてきたってのに。良かれと思ってしたのに……ぐすん
そして泣く泣く独り草原でBBQ
「うぇーーん こんなに ウマイ おいしい ウマイ のに ウマイ よかれとおもって ウマイ したのに ウマイ なんで ウマイ みんなこば ウマイ むのウマイ」
ケンタロン 「」
さっきまで威勢の良かった牛さんたちは、全員息を引き取った。
というわけで今夜のご飯になっていただきました。
ケンタロンのステーキ。肉厚かつ食べ応えがあり、それでいてやわらかいその肉は、想像以上にあっさりとした甘い脂がのっていて全然しつこくない。村でもらった任意で熱を帯びる石は肉料理にはうってつけで、火力が良いのなんの側面がすごいカリってジュワッってもう…
ケンタロンの骨付き肉。あれだよアニメでよく見るやつ。いやあまさかこの作品でも見れ……この肉のやわらかいのなんのって。さっきの調理されたお肉ってのもいいけどこのワイルドな感じも男心をくすぐる。なんてったってこのぎゅうぎゅうなまでのしっかりとした肉!噛むほどに脂が溶け出して、口いっぱいに幸せを感じる。大きく口を開けてがぶり、がぶり。最高。
塩、村から持ってきといてよかった。この世界もまだ見たことはないがおそらく海がある。だからそこまで塩が貴重ってわけでもない。ほんとよかった。塩さえあれば大体どうにかなる。
それはそうと肉がうまい。これだけ食べても気持ち悪くならない。この体のお陰だろうか。そもそも肉が上等なのもあるのだろうが、それ以上にこの体は強靭なようだ。
まぁ現代人のなまり切った身体、ひいては胃など比ではないのだろう。食えば食う程腹が減るようにも思える。
ベーコンのように噛みやすいのにロースのように牛感がすごい。なんとまたこの匂いの香ばしいこと。さっきの石に脂が落ちてその甘美な香りが僕の嗅覚を愛でる。噛むたびに唇からこぼれる肉汁。それにいとわずさらにがっつく。肉の断面はそれはそれは美しく、花見をせんとばかりの桜色に染まった肉が、色鮮やかに焦げ目をつけて、それでもなお、光り輝く。
視るに良し、嗅ぐに良し、食うに良し。なんというか……美味い。
ほんとは街の前で全員気絶させて中で売りさばくつもりだったのに。
えぇいやけ食いだ。全部食ってやる。
―――――――――――――――――――――
「ふげぇ」
おなかがいつもの二十倍くらいにふくれてうまくいったときの風船ガムみたいになってる。結局七頭くらい食べたかな。
あと十頭くらい余ったけどどうしよう。できるだけ解体して明日街で売ろう。流石に明日は入れるだろうし。ということで、寝ッ!
心地よい朝が来た。朝日が体中を温かく照らし、草々が揺れ、空が青く澄んでいる。なんて美しいこうけ…
解体済みケンタロン 「 」
よし、
僕の中に芽生える、逆上にも、復讐にも似た…
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