ANGELICA(アンジェリカ) 〜第一典 朽ちた翼〜
御蛇村 喬
序節
人気のない街道。
黒い霧が渦を巻いて立ち上り、やがて空に溶けるようにして消えていく。
辺りを包むのは
その中で一人の男がただ黒い霧が消えゆくのを
異様な風体の男だ。
身長はかなり高く、その半身をマントで覆い、背に鎖で雁字搦めにされた棺らしき箱を背負っている。
どこか不吉さを感じさせるその姿は、
やがて黒い霧は消え、生暖かい風が男の長い髪と額に巻いている布の端を
「……臭うな」
男は風上に目をやり呟く。
「休む暇も無しか……まあ、それもいい」
男は鋭い眼光はそのままに口元だけで笑みを浮かべる。
「立ち止まるのは性に合わねえ……」
男はその身を翻し歩き始める。
その背は遠ざかり、やがて紅の闇に消えていった。
古の昔
世は戦火で覆われ、
人々は貧困と病魔にあえぎ
影に腐敗が澱み
闇に強大な魔が潜む
暗黒の時代があった……
人々はその中で何を思い生きたのか。
これは歴史の闇に埋もれた
語られぬ者達の足跡……
『ANGELICA』
第一典
〜朽ちた翼〜
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